高級ホテルの定義とは?ラグジュアリーとアッパーアップスケールの区分
by Fish&Tips 編集部
高級ホテルの定義には、国際的なSTR(CoStar)の「チェーンスケール」区分がよく使われます。平均客室単価をもとに最高峰の「ラグジュアリー」や高価格帯の「アッパーアップスケール」などに分類され、それぞれの設備やサービスの特徴を知ることで、旅の目的に合った宿選びがスムーズになります。
高級ホテルの定義と国際的な格付け基準(STR区分)
旅行の計画を立てるとき、「高級ホテル」という言葉をよく目にしますが、実はどこからが高級ホテルなのかという明確な定義は一つではありません。日本国内では一般的に「リゾートホテル・旅館」「シティホテル」「ビジネスホテル」「エコノミーホテル」といった施設のタイプで呼ばれることが多いですが、これだけではサービスの質や価格帯の段階が分かりにくい側面があります。
そこで世界的なホテル業界の基準として広く使われているのが、ホテルデータ分析を手がけるSTR(CoStar)による「チェーンスケール」という区分です。この基準では、ホテルチェーンを実際の平均客室単価に基づいて6つの階層(および平均客室単価にかかわらず別に分類される独立系ホテル)に分類しています。
まずは、国際的な基準である6つのチェーンスケールと、それぞれのサービスの特徴を表で見てみましょう。
| STRチェーンスケール区分 | 位置づけ・サービスの特徴 |
|---|---|
| ラグジュアリー(Luxury) | 最上位のカテゴリー。最高峰のサービスや充実した施設・設備を備える超高級ホテル |
| アッパーアップスケール(Upper Upscale) | ラグジュアリーに次ぐ高価格帯の高級ホテル。ハイレベルなフルサービスと設備を提供する |
| アップスケール(Upscale) | 上位中級〜高品質クラス。レストランや会議室などフルサービスを備え、幅広い客層に対応する |
| アッパーミッドスケール(Upper Midscale) | 中上位クラス。基本的な宿泊サービスを提供し、ビジネスや短期滞在でも利用しやすい価格帯 |
| ミッドスケール(Midscale) | 中位クラス。リーズナブルな価格帯で必要な機能やサービスを提供する |
| エコノミー(Economy) | 低価格帯。必要最低限の設備・サービスに特化したコスト重視のホテル |
| 独立系(Independents) | 平均客室単価にかかわらず、チェーンに属さないホテルとして別途分類されるカテゴリー |
一般的に「高級ホテル」と呼ばれるのは、この中の「ラグジュアリー」や「アッパーアップスケール」、そして広義にはフルサービスを提供する「アップスケール」の上位層までを含めたカテゴリーです。
なお、STR Benchmarkの定義では、「ラグジュアリー」「アッパーアップスケール」「アップスケール」は通常「フルサービスホテル」と位置づけられています。フルサービスホテルとは、館内にレストラン、会議室、フィットネスルームやスパなどの幅広いアメニティを備え、ホテルの総収入の5%以上が料飲(飲食)部門の収入に起因するホテルを指します。宿泊だけでなく、館内での食事やリラクゼーションを含めた滞在そのものを楽しめるのが、これら上位カテゴリーの大きな特徴です。

「ラグジュアリー」と「アッパーアップスケール」の違い
高級ホテルを探す際、特に知っておきたいのが最上位の「ラグジュアリー」と、そのすぐ下に位置する「アッパーアップスケール」の違いです。どちらも一流のホスピタリティを提供してくれますが、ホテルの規模感やターゲット層、滞在の雰囲気に違いがあります。
ラグジュアリー:最高峰の設備とパーソナルなサービス
ラグジュアリーは、ホテル格付けの中で最高峰に位置するカテゴリーです。洗練された客室や充実したスパ、複数の専門レストランなどを備え、VIPや富裕層をはじめとするゲストに向けてきめ細かなサービスを提供します。
スタッフには厳格な身だしなみ基準や徹底したサービス研修、高い語学スキルなどが求められ、宿泊客一人ひとりの要望に寄り添うパーソナルなおもてなしが重視されます。特別な記念日や、ホテルでの滞在自体を旅の最大の目的にしたいときに選ばれるクラスです。

アッパーアップスケール:高価格帯で充実したフルサービス
アッパーアップスケールは、ラグジュアリーとアップスケールの間に位置づけられる高価格帯のフルサービスホテルです。ラグジュアリーほどの超高価格帯ではありませんが、ハイレベルな接客と充実した館内施設を備えています。
大規模型の施設も多く、富裕層のレジャー利用からエグゼクティブ層のビジネス利用、国際会議や宴会(MICE)まで、幅広いニーズに高い水準で応えてくれる安心感があります。「最高級ホテルは少し緊張してしまうけれど、上質で快適な空間とフルサービスをしっかり味わいたい」という旅行者にぴったりのカテゴリーです。

星の数による格付けやホテルチェーン独自の分類との違い
高級ホテルを選ぶときには、STRの区分以外にも「5つ星ホテル」といった星の表記や、ホテルグループ独自のブランド分類を目にすることがあります。それぞれの仕組みを知っておくと、ホテルのランクをより正確に把握できます。
国や民間機関による「星」や「ダイヤモンド」の格付け
一般的にホテルの格付けには「星」が用いられますが、これは国や民間機関、業界団体などが独自の基準で審査して付与しているものです。概ね以下のような5段階の等級で表されることが多くなっています。
- 5つ星:ラグジュアリーホテル(最高級ホテル)
- 4つ星:アップスケールホテル(高級ホテル)
- 3つ星:ミッドプライスホテル(中間級ホテル)
- 2つ星:エコノミーホテル(廉価ホテル)
- 1つ星:バジェットホテル(格安ホテル)
海外では申請や審査を経て等級を得る仕組みが広く浸透しています。たとえばフランスでは、施設設備やサービスなどの評価基準に沿った1〜5の星に加え、さらに特別な審査を経て与えられる「パラス(宮殿級)」を含めた6等級が用いられています。
一方、アメリカでは民間機関による格付けが中心です。アメリカ・カナダ・メキシコ・カリブ海のホテルを網羅するアメリカ自動車協会(AAA)の「ダイヤモンド・アワード(1〜5ダイヤモンドの5等級)」や、日本でもよく知られている「フォーブス・トラベルガイド」などがあります。
フォーブス・トラベルガイドは1958年に創設された世界的な権威を持つトラベルガイドで、世界で初めて「5つ星」の格付けシステムを導入しました。専門の調査員が匿名で宿泊し、900もの厳格で客観的な評価基準をもとにホテル、レストラン、スパを評価しており、「5つ星」「4つ星」「おすすめ」の3等級で発表されています。このように、どこが評価した星なのかによって基準が異なるため、星の数はひとつの目安として見るのがおすすめです。
外資系ホテルチェーンのマルチブランド階層
世界展開する大手ホテルチェーンは、1つの企業グループの中に価格帯の異なる複数のブランドを抱え、共通の会員プログラムでつなぐ「マルチブランド戦略」をとっています。各社は独自の呼び方でブランドを階層分けしており、大きく以下の4段階に整理すると全体像がつかみやすくなります。
- ラグジュアリー(最上級):最高峰の施設とサービスを提供するフラッグシップブランド群
- プレミアム(フルサービス):宴会場やレストランを備えた本格的な上位ホテル(STRのアッパーアップスケール〜アップスケールに相当)
- セレクト(中価格帯):機能を絞って快適さと手頃さを両立したブランド(STRのアッパーミッドスケール〜ミッドスケールに相当)
- エコノミー(手頃な価格帯):低価格〜中価格帯の宿泊特化型ブランド
さらに近年では、この価格帯の階層を縦に横断する軸として「ライフスタイル」と呼ばれるブランド群も増えています。デザイン性や独自の体験を売りにする新世代のホテルで、ラグジュアリー級からセレクト級まで幅広い価格帯に存在します。価格の上下だけでなく、「クラシックな格式を楽しみたいか」「モダンで自由な雰囲気を楽しみたいか」というコンセプトの違いで選べるようになっているのが現代の高級ホテルの特徴です。

日本のホテル・旅館における高級クラスの考え方
日本国内でホテルを探す場合、グローバルな基準とあわせて日本ならではの事情も知っておくと宿選びがしやすくなります。
まず、日本のホテル市場をSTRの分類で見ると、国内系チェーンの多くはビジネスホテルや宿泊特化型ホテルが中心となる「アッパーミッドスケール」や「ミッドスケール」に集中しており、「ラグジュアリー」に分類されるブランドは外資系チェーンが多くを占めています。
また、ラグジュアリーのクラスに属するホテルは非常に価格帯の幅が広いため、同じ「ラグジュアリー」と呼ばれるホテルであっても、手が出しやすい価格帯の日から超高級スイートまで大きな差があります。
さらに、日本独自の宿泊文化である「温泉旅館」は、和のおもてなしや1泊2食付きの滞在スタイルなど独自のサービス文化を持っており、欧米発のグローバルなグレード分類とは少し異なる視点で見る必要があります。沖縄や北海道などの大型リゾートホテルがアップスケール〜アッパーアップスケールに相当する施設を多く持つ一方で、旅館や小規模で個性的な体験を提供するブティックホテルなどは、チェーンスケールにとらわれない独自の魅力を持っています。

目的に合った高級ホテル(ラグジュアリー/アッパーアップスケール)の選び方
ここまでの区分を踏まえて、実際の旅行でどのように高級ホテルを選べば失敗しないのか、チェックしたいポイントを整理しましょう。
1. 「ホテル内でどう過ごすか」でグレードを選ぶ
宿泊そのものを目的にし、スパでのトリートメントや洗練されたメインダイニングでのディナー、静かなラウンジでの読書など、一歩も外に出ずに非日常を味わいたいなら「ラグジュアリー」クラスのホテルが最適です。

一方で、日中は観光やショッピング、観劇などで外出する時間が長く、ホテルでは広々とした部屋での休息や充実した朝食ビュッフェ、館内レストランでの食事を快適に楽しみたいという場合は、「アッパーアップスケール」のホテルを選ぶと、コストと満足度のバランスが非常に高くなります。
2. フルサービスの設備(料飲・スパ・ラウンジ)を確認する
同じ高級ホテルでも、施設によって力を入れている設備は異なります。予約前には以下のポイントを確認しておきましょう。
- レストランやバーの数とジャンル(ルームサービスの有無や営業時間も含む)
- フィットネスジムやプール、スパなどのウェルネス施設の利用条件
- 特別な滞在を演出するクラブラウンジなどの有無
これらを事前にチェックしておくことで、「高級ホテルを予約したのに、夜遅くに到着したら食事ができる場所がなかった」といったミスマッチを防げます。

3. 旅の同行者やシーンに合わせてブランドを使い分ける
大手ホテルチェーンが多様なブランドを展開しているのと同じように、私たち旅行者もシーンによってグレードを使い分けるのが賢い方法です。結婚記念日や還暦祝いなどの特別なハレの日には「ラグジュアリー」、家族旅行や友人との少し贅沢な週末旅行には「アッパーアップスケール」、感性を刺激するおしゃれな滞在には「ライフスタイルホテル」や「温泉旅館」というように、目的に合わせて選んでみましょう。
よくある質問
5つ星ホテルとラグジュアリーホテルは同じ意味ですか?
ほぼ同じ最上位クラスのホテルを指すことが多いですが、厳密には基準の出どころが異なります。「5つ星」はフランス政府観光局のような公的機関や、フォーブス・トラベルガイドなどの民間機関が独自の審査基準(設備や匿名調査によるサービス評価など)で付与する等級です。一方、「ラグジュアリー」はSTRのチェーンスケールのように実際の平均客室単価をもとにした分類や、各ホテルグループが設定する最上級ブランドカテゴリーを指します。
アッパーアップスケールとはどのくらいのランクのホテルですか?
6段階ある国際的なホテル区分(STRチェーンスケール)の中で、最上位の「ラグジュアリー」に次ぐ第2位のグレードです。レストランや宴会場、フィットネスなどを備えた高価格帯のフルサービスホテルであり、一般的な感覚では十分に「高級ホテル」と呼べるハイレベルな施設と接客を備えています。
フルサービスホテルとはどのようなホテルですか?
宿泊機能だけでなく、館内にレストラン、会議室、フィットネスルーム、スパなどの幅広い施設・アメニティを備えているホテルのことです。通常はラグジュアリー、アッパーアップスケール、アップスケールのホテルが該当し、STRの定義ではホテルの総収入のうち5%以上が飲食(料飲部門)の収入から成り立っているホテルを指します。
日本の高級旅館もラグジュアリーやアッパーアップスケールに分類されますか?
STRのチェーンスケールは主にホテルチェーンの平均客室単価をもとにした国際基準であり、チェーンに属さない施設は「独立系」に分けられます。また、日本の温泉旅館は「和のおもてなし」という独自のサービス文化を持っているため、グローバルなホテルグレードの枠組みとは別の視点で評価されるのが一般的です。