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最終更新日:2025/12/12

鮭のまち村上 井筒屋に息づく食文化体験

by Fish & Tips

新潟県村上市は、古くから「鮭のまち」として広く知られています。古くから鮭は重要な食材で文化。塩引き鮭などの伝統的な鮭製法は、今なお受け継がれています。そんな村上で、かつての旅籠屋であった建物が、鮭の名店「千年鮭きっかわ」により、鮭料理専門店「井筒屋」として再生されました。この記事では、村上の鮭文化を体現する「井筒屋」での鮭づくし料理を、実際に食事した感想を交えてお届けします。

村上市と鮭文化 ― 街全体が息づかせる千年の営み

村上市は新潟県北部、日本海に面した城下町で、町の中心部には昔ながらの町屋が残り、歴史と自然がほどよく混ざり合った、落ち着いた雰囲気の町です。古くから“三面川の鮭”に支えられてきた町で、村上では独自の鮭文化が発展しています。

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寒く乾燥した気候は保存食づくりにも最適で、「塩引き鮭」や「酒びたし」といった独自の製法が受け継がれ、鮭の頭から内臓まで一尾を余さず使い切る食文化が育まれています。町屋が並ぶ中心街では冬になると鮭が吊るされる光景も見られ、街全体に漂う鮭文化を肌で感じることができます。

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旅籠屋から鮭料理専門店へ

「井筒屋」は、「千年鮭きっかわ」という、村上の伝統的な鮭加工・鮭製品の老舗によって運営されている鮭料理の専門店です。井筒屋の建物は、かつての旅籠を改装した町屋造り。江戸時代に松尾芭蕉が「奥の細道」道中で宿泊した記録もある由緒ある建物で、国の登録有形文化財にも指定されています。

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店構えは町屋の趣を残しており、料理だけでなく「この建物・この場所で食べる」という体験そのものにも魅力を感じます。

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暖簾をくぐると囲炉裏のある待合室で、予約時間になると奥のダイニングへ案内されます。今回はオープンの11時に事前予約済み。当日席もありますが、人気店なので予定が決まり次第早めの事前予約がおすすめです。

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ダイニングは座敷と椅子席があり、私が案内されたのは1階の椅子席で、和洋折衷の大正ロマンを感じる設えです。静けさが漂い、時間がゆっくり流れるような空間に食事の前から期待が高まります。

【千年鮭きっかわ 井筒屋 公式サイト】
https://www.murakamisake.com/idutsuya/

井筒屋で出会う鮭料理

井筒屋の鮭料理は、村上の土地が育んだ食文化の結晶です。鮭を余すところなく多様に使った料理は、無添加一筋で、化学調味料はもちろん酵母エキス等も一切使用していないとのこと。自然に寄り添いシンプルな調味と発酵・熟成で素材の旨味を引き出した鮭づくしは、他では味わえない特別な食体験です。

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鮭料理は8品から、11品、14品、19品、22品までのコースがあります。今回食べたのは14品のコースで、あとから鮭珍味五品盛りも追加しました。

◯鮭の酒びたし
◯鮭の手まり寿司
◯鮭の白子の寒風干し
◯鮭の酒びたしの皮 おどり焼き
◯鮭の焼漬
◯はらこの味噌漬
◯鮭のかぶと煮
◯鮭の塩引
・土鍋炊きご飯
・だし(村上茶+生揚醤油+鰹節)
・薬味(三つ葉・海苔・お漬物)
・ひとくち甘酒

◯鮭の生ハム
◯鮭の白子煮
◯鮭の昆布巻
◯鮭の飯寿司
◯鮭のきそ
◯鮭の中骨煮

14品の内容はこんな感じで、どのコースも土鍋ご飯とお茶漬けセットが付いていて、コースによって基本の8品に鮭料理がプラスされていきます。

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料理は数点ずつ提供され、まずは「鮭の酒びたし」「鮭の手まり寿司」「鮭の白子の寒風干し
酒びたしは一年かけて乾燥熟成させた逸品。食べる前にお酒をかけて食べる風習から酒浸しと呼ばれているそうで、ここではあえて日本酒に浸さず凝縮された旨みを味わいます。
手まり寿司は鮭の生ハムを一口大のご飯に乗せた寿司。生ハムは寒風干しの後さらにじっくり低温熟成させているそうでふくよかな味わい。
鮭の白子の寒風干しは、合わせ味噌に漬け込み、寒風の中2ヶ月吊るしたさらに約半年低音熟成させた発酵食。まろやかで濃厚な旨味とねっとりとした食感が堪りません。

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村上の鮭料理の横綱「鮭の塩引」。卓上に用意された炭火で焼くため、皮がパリッとし、身はふっくら。熟成による深い旨みと塩の角が取れたまろやかさが絶妙で、普通の焼き鮭とはまったく別物です。

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塩引の前にまずは「鮭の酒びたしの皮 おどり焼」。皮を七輪で炙ると、くるくると丸まって踊りだしすぐ食べごろです。硬くはなく程よい歯応えが絶妙。

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鮭の塩引は、皮の付いた方から先に焼きます。焼き方や料理については、店員さんがその都度全体に説明をしてくれるので、ふむふむと聞きながら一品一品じっくり味わいます。

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このタイミングで炊き立ての「土鍋炊きご飯」も提供。お米は地元の契約農家さんのコシヒカリで、さすがの美味しさです。まずは一口そのまま味わって、その次は塩引鮭と。そのまま最後まで食べてしまいそうですが、他にもご飯と合う鮭料理はまだまだあるので、一膳目はおかずと、二膳目でお出汁をかけてお茶漬けにする食べ方が推奨されています。

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鮭の焼漬」「はらこの味噌漬」「鮭のかぶと煮
焼漬は古くから村上の家庭で食べられている郷土料理。煮付けとは異なる独特の風味で、柔らかく食べやすい上品な味わい。
はらこの味噌漬けは初めてでしたが、濃厚な卵の粒感と味噌の味わいが一体となりとっても美味。程よい塩気と甘みで深い味わいです。
かぶと煮はトロトロになるまで煮込まれてい骨までそのまま食べられる柔らかさ。程よい食感と上品な甘辛味がご飯ともよく合います。

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鮭の生ハム」「鮭の白子煮」「鮭の昆布巻」「鮭の飯寿司」「鮭のきそ」「鮭の中骨煮」などなど、どれもご飯によく合うお味です。
鮭の飯寿司は、あえて半解凍で、シャリシャリ感を味わいます。きっかわ伝統の麹を使用した飯寿司で、甘みがありゆずの風味もきいていてとても美味しいです。発酵食ならではの深みと旨味がたまりません。
鮭のきそは平安時代に朝廷への献上品として食されてたという珍味。きっかわの先代が古文書を見て再現したそうでここにしかない珍重品とのこと。みためは味噌のようですが、食べると旨味が強く、まったりしたコクと少しの苦味も感じられる濃厚で深みのある味わいです。

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せっかくなので追加で、「鮭珍味 五品盛り」も注文。
◯鮭のどんびこ(心臓)
◯鮭の胃袋
◯鮭の白子
◯鮭のきも(肝臓)
◯鮭の背腸の塩辛(腎臓)

ご飯にもよく合いますが、やはりお酒のアテにしたくなる美味しさ。

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最後は「ひとくち甘酒
きっかわ伝統の手造りの麹の甘酒で、砂糖は一切使わず自然に醸されたブドウ糖の甘味だけという逸品。クセのない甘さで飲みやすく食後がさっぱりとする美味しさ。

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料理を通して見える“村上の鮭文化”

鮭料理の数々は大満足で、鮭がこんなにも奥深い食材だったのかと感動を覚えるほどです。一品一品の存在感があり、丁寧に受け継がれた鮭文化、素材の旨みと熟成を活かした料理を堪能する、他では味わえない鮭づくしの食体験でした。井筒屋で味わう鮭料理は、ただの食事ではなく、村上の歴史や風土、暮らしを体現したもの。街で見かけた鮭の吊るしの光景は、実際に食べる鮭料理へとつながり、村上の鮭文化が、生活の中に深く息づいていることを実感できるのです。

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井筒屋で提供された鮭料理は、近くにある「千年鮭きっかわ」で買うことができます。

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きっかわでは、伝統的な塩引鮭の干し風景を実際に見学することもできます。天井の梁から大量の鮭が吊るされている光景は圧巻で、リアルな製造風景を目にできる貴重な体験です。通年見学できますが、晩秋〜冬にかけてが仕込みのピークで、吊るされている鮭の量がもっとも多い時期のようです。

【千年鮭きっかわ 本店 公式サイト】
https://www.murakamisake.com/

食後に歩く村上の街並み

村上の中心部は、かつての城下町の区画が今も生きており、通りを歩くと古い町屋や商家が静かに並びます。古い建物や町屋は、単なる観光用ではなく、日常的に使われており、歴史的な町並みでありながら、観光地のような派手さは少なく、静かな空気が流れています。

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村上の鮭文化を知るうえで必ず訪れたいスポット「イヨボヤ会館」。日本初の鮭の総合博物館で、鮭の生態・歴史・文化を体験しながら学べます。

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館内には、三面川を再現した大きな水槽があり、時期によって成長段階の鮭などを間近で観察できます。特に人気なのは、建物内の人工河川の窓から、川を泳ぐ魚を横から見る展示。秋には遡上する鮭の姿がそのまま見られることもあるそうです。

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まとめ ― 井筒屋で鮭の本質に触れる旅

井筒屋は、鮭のまち村上の核心を感じられる場所です。単なる観光地としてではなく、文化を味わう食体験として、その季節の鮭、その街の空気、その建物で食事をすることに大きな価値を感じられます。鮭料理を堪能したい人はもちろんのこと、日本の伝統食文化に興味がある人、古い町屋や歴史ある建物で、和の雰囲気を楽しみながら食事したい人、次の旅先は村上を訪れて「井筒屋」の鮭づくしを楽しむのはいかがでしょうか。

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