2017年12月24日

パリ

【パリの建築史】覇権者が築いた美しい都

by Fish & Tips

68338

世界中の人々を魅了してきた街、パリ。建築の世界でもさまざまな時代の傑作建築物がこの街の多彩な魅力をつくっている。

古代〜ロマネスク建築 —— 1世紀末〜12世紀

紀元前8世紀から紀元後4世紀まで、ローマ人の支配地域での建築を古代ローマ建築と呼ぶ。その後、キリスト教会堂を主役としてロマネスクの時代となる。

古代ローマ時代の建造物

パリの前身であるルテシアは、カエサルによるガリア(現在のフランスからベルギーにかけての一帯)制圧によって、ローマ軍の拠点とされた都市のうちのひとつだ。おもにサント・ジュヌヴィエーヴの丘周辺に北ガリアの拠点としての都市が築かれた。

このローマ支配下だった頃の建築物で、現存するものは2つある。中世美術館の裏側にひっそりと建つ公共浴場と、モンジュ通りから建物をくぐると開けるリュテス闘技場の遺構だ。

公共浴場は比較的良い保存状態で残っている。紀元200年頃に造られたといわれ、天井の交差ヴォールトの構造も確認できる。アーチの柱頭を飾る彫刻から、水運に関係のある人々によって建設されたといわれている。

リュテス闘技場は2世紀末の建設とされ、剣闘の試合場、劇場として使われていた。現在は、子供たちの良い遊び場になっているが、東側にある壇がステージだった。雨水は排水管によって流されるようになっていた。

リュテス闘技場跡

1860年、オスマンによるパリ大改造のときに見つかった遺跡。直径約46m、1万7000人を収容する劇場だ。

46741

リュテス闘技場跡

現地名:
Les Arénes de Lutéce
アクセス:
メトロ10号線 Cardinal Lemoineカルディナル・ルモワヌ駅から徒歩3分

ロマネスク様式

11世紀、西ヨーロッパにおいてキリスト教の教会建築として発展した様式。石造りでどっしりとした、素朴な外観が特徴だ。壁面全体で構造を支えているため、窓を大きくとることができず、内部は薄暗い。石を用いた建築は当時の最先端の技術を駆使していた。とくに石やレンガで造ったアーチを連続させたり、回転させて造る円形の天井をヴォールトといい、半円筒形に石材を組んだトンネル・ヴォールトや、それを直交させた交差ヴォールトなど、多くの技術が発展した。

内部はフレスコ画や彫刻を施した柱頭などで飾られている。入口の壁面や柱には宗教的な題材の彫刻が彫られることも多い。

パリに残るロマネスク建築で代表的なのは、サン・ジェルマン・デ・プレ教会。ロマネスクの特徴である放射状祭室が採用されている。幾度となく改修工事を施されているが、内陣の円柱群と鐘楼はロマネスク様式のものだ。

サン・ジェルマン・デ・プレ教会

パリでは最も初期の教会。大理石とモザイク、金箔が貼られたブロンズの装飾で知られた。

48390

サン・ジェルマン・デ・プレ教会

現地名:
Église St-Germain des Prés
住所:
Pl. St-Germain des Prés, 6e
地図を見る »
アクセス:
メトロ4号線Saint-Germain-des-Présサン・ジェルマン・デ・プレ駅からすぐ
TEL:
01-55-42-81-10
営業時間:
8:00~20:00※宗教的行事中は入館不可
定休日:
無休 
Webサイト:
http://www.eglise-sgp.org

サン・ピエール教会

モンマルトル女子大修道院の礼拝堂として12世紀末に建立。以後修復を重ねて現在の姿に。建物の正面は18世紀のもの。

48410

サン・ピエール教会

現地名:
Église St-Pierre(パリ)
住所:
2 Rue du Mont-Cenis, 18e
地図を見る »
アクセス:
メトロ12号線Abbessesアベス駅から徒歩8分
TEL:
01-46-06-57-63
営業時間:
8:45~19:00(礼拝中は見学不可)
定休日:
無休 

ゴシック〜ルネサンス建築 —— 13〜16世紀

12世紀後半、北フランスで熱く支持されたゴシック建築は国中に広まる。1495~1525年の間、フランスはイタリア侵攻を通じてルネサンス文化に触れる。

ゴシック様式

ゴシック建築の主役は大聖堂。ロマネスクのどっしりとした風貌から変化し、尖塔が天へ伸びる垂直性が強調された骨組、光のある空間を実現するための飛び梁や控え梁などが開発された。これらが壁や梁にかかる負担を減らし、脇から支えたので、天井は高くなり、壁はステンドグラスに置き換わり、内部に大きく光を採り込むことができるようになった。多彩な光に満ちた空間は、民衆に神の存在を感覚的に理解させるのに十分な荘厳さを持っていた。

フランスのゴシック様式は、初期、古典、レヨナン芸術、フランボワイヤン芸術と展開する。

初期ゴシックはパリのノートル・ダム大聖堂が有名だ。パリを中心とする北フランスで生まれ、完成されたゴシックは古典期(1190~1220年)を通じて各地に伝えられていく。レヨナン芸術期(1230~1360年)の建築、サント・シャペルの見事なステンドグラスも、この時期ならではの造形だ。

ノートル・ダム大聖堂

1163年の着工から約200年の歳月をかけて完成したゴシック建築の大聖堂。名は「われらの貴婦人」で、聖マリアを指す。

download

ノートル・ダム大聖堂

現地名:
Cathédrale Notre-Dame de Paris(パリ)
住所:
6 Pl. du Parvis de Notre-Dame, 4e
地図を見る »
アクセス:
メトロ4号線 Cité シテ駅から徒歩3分
TEL:
01-42-34-56-10
営業時間:
8:00~18:00(土・日曜は~18:30)、クリプト10:00~17:15、塔10:00~17:45(7・8月の金・土曜は~22:15、10~3月は~16:45)、閉場は各45分後
定休日:
クリプト月曜・祝日、塔は1/1、5/1、12/25、宗教行事のある日は入場不可 
Webサイト:
http://www.notredamedeparis.fr

サント・シャペル

建築家ピエール・ド・モントルイユが1248年に建設した教会。『創世記』など約1100に及ぶ聖書の物語が描かれたパリ最古のステンドグラスが圧倒的。

47308

サント・シャペル

現地名:
Sainte-Chapelle
住所:
8 Bd. Du Palais, 1er
地図を見る »
アクセス:
メトロ4号線Citéシテ駅からすぐ
TEL:
01-53-40-60-80
営業時間:
9:30~12:30、14:15~17:30、7・8月9:30~17:30(水曜は9:30~12:15、14:15~20:30)、11~2月9:00~12:30、14:15~16:30(土・日曜は9:00~16:30)、閉場は各30分後
定休日:
1/1、5/1、12/25 
Webサイト:
http://sainte-chapelle.monuments-nationaux.fr

ルネサンス様式

「ルネサンス」とは、「再生」を意味する。ルネサンス建築はおもにイタリアの15〜16世紀の建築様式のことで、諸国に伝わった先で進化を遂げたものも指す。均衡、水平性を重視したシンメトリーが造形の中心となり、調和のとれた姿こそが美しいとされた。

百年戦争の終結後、フランソワ1世が1495~1525年にかけてのイタリア侵攻によりルネサンス文化に触れる。王はレオナルド・ダ・ヴィンチをはじめ、優れた芸術家や職人を連れ帰り、ロワール川沿いの城館建設などにルネサンス様式を取り入れた。その後、フィリベール・ド・ロルムやフォンテーヌブロー派などフランス人建築家により、古典的要素をフランス流に昇華した独自のルネサンス様式が誕生する。

現在、パリに残るルネサンス建築はルーヴル宮のクール・キャレ部分やカルナヴァレ館、ポン・ヌフ、リュクサンブール宮殿などだ。

イノサンの泉

アンリ2世のパリ入市を記念して造られたイノサンの泉。アーチのニンフ像には優雅なフォンテーヌブロー派の特徴が見られる。ルーヴルの装飾を手がけたグジョンによる。

download

イノサンの泉

現地名:
Fontaine des Innocents
アクセス:
メトロ1・4・7・11・14号線 Châtelet シャトレ駅、メトロ4号線 Les Halles レ・アル駅から徒歩4分

カルナヴァレ博物館(カルナヴァレ館)

ピエール・レスコーによって1548年に建設されたが、そのあと大幅に改造された。オリジナルで残っているのは四角い窓と人物像が飾られた3層の中央部分。※2019年まで改装のため閉館

47935

カルナヴァレ館(カルナヴァレ博物館)

現地名:
Hôtel Carnavalet(Musée Carnavalet-Histoire de Paris)
住所:
23 Rue de Sévigné, 3e
地図を見る »
アクセス:
メトロ1号線 Saint-Paul サン・ポール駅から徒歩3分
TEL:
01-44-59-58-58
営業時間:
10:00~18:00(入場は~17:30)※2019年まで改装のため閉館
定休日:
月曜、祝日 
Webサイト:
http://carnavalet.paris.fr

古典主義〜バロック建築 —— 16世紀末〜18世紀

静的で荘厳な古典主義様式はフランス人に愛された。イタリアから導入されたバロックは絶対王政下で独自の進化を遂げ、華やかな建築が街を彩っていく

バロック様式と古典主義

フランスでようやくルネサンス様式が自国流に洗練された頃、ローマではバロック様式が支持を得ていた。「歪んだ真珠」を意味するといわれるバロックは、ルネサンス様式におけるシンメトリーの重要性に真っ向から対立し、よりダイナミックな造形をめざした。バロックの特徴は、まず建築、絵画、彫刻などあらゆるジャンルの芸術を総動員して、ひとつのドラマティックで密度の濃い空間を作り出すことにある。建築的には曲線や曲面を多用した立体感のある形を用い、光の操作や遠近法、配置法を駆使して見るものの感覚に直接訴えかけるような工夫を施す。

宗教改革時のカトリック教会をパトロンとして発展したこの建築様式は、17世紀、ルイ14世の側近、マザラン枢機卿などにより絶対王政下のフランスでさらなる発展を遂げる。それはバロックの実現には莫大な知識と資金力が必要だったことと、王の権力を示すのに、豪華で荘厳なスタイルが適していたことによる。

国内にバロック様式が伝わり初めても、ローマのような過剰な装飾は敬遠され、秩序と調和のある、独自のバロックが生み出されていった。17世紀は、ギリシャやローマの建築を手本とした古典主義様式が好まれており、バロックに与えた影響も少なくない。古典主義様式は「オーダー」と呼ばれる古代神殿に用いられる円柱と梁の組み合わせが特徴的で、アルドゥアン・マンサールによるアンヴァリッドなどに見られる。 この時代の建築は、バロック建築家のルイ・ル・ヴォーによるフランス学士院や、フランソワ・マンサールによるヴァル・ド・グラースなどが残る。

ヴァル・ド・グラース

主要なバロック建築のひとつ。マンサールのプランで起工し、途中からルメルシェが引き継いだ。バロック様式の特徴である曲線を用いたねじり柱にも注目。

50899

ヴァル・ド・グラース

現地名:
Val de Grâce
住所:
1 Pl. Alphonse Laveran, 5e
地図を見る »
アクセス:
メトロ6号線 Saint-Jacques サン・ジャック駅から徒歩11分
TEL:
01-40-51-51-92
営業時間:
12:00~18:00
定休日:
月・金曜 祝日の場合は開館
Webサイト:
http://www.valdegrace.org

ルーヴル美術館

フランスを代表する建築家たちが代々造営してきた。1667年、医者出身のペローがデザインし、宮廷東側の建設が始まる。

download

ルーヴル美術館

現地名:
Musée du Louvre
住所:
Musée du Louvre, 1er
地図を見る »
アクセス:
メトロ1・7号線Palais Royal Musée du Louvreパレ・ロワイヤル・ミュゼ・デュ・ルーヴル駅から徒歩3分
TEL:
01-40-20-53-17
営業時間:
9:00~17:30(閉館は18:00)、水・金曜は~21:30(閉館は21:45)
定休日:
火曜、1/1、5/1、12/25 
Webサイト:
http://www.louvre.fr

アンヴァリッド(国立廃兵院)

国立廃兵院付属の礼拝堂。正方形平面とギリシャ十字平面を組み合わせ、十字の中央に高いドームがそびえている。アルドゥアン・マンサールが設計。

49774

アンヴァリッド(国立廃兵院)

現地名:
Hôtel National des Invalides
住所:
129 Rue de Grenelle, 7e
地図を見る »
アクセス:
メトロ8号線 La Tour Maubourg ラ・トゥール・モブール駅から徒歩4分
TEL:
01-44-42-38-77
営業時間:
7:30~19:00(火曜は~21:00)、博物館10:00~18:00(11~3月は~17:00)
定休日:
1/1、5/1、12/25 
Webサイト:
http://www.musee-armee.fr

ロココ様式

18世紀に入ると、フランス・バロックの仰々しい様式に飽きた宮廷の人々が、より優美な「ロココ」を生み出す。建物全体ではなく、室内装飾の新様式のため、後期バロック様式とも位置づけられる。自由でのびのびとした曲線、非対称的な紋様、白や淡い色彩が特徴的だ。サロン文化と密接に関わっており、ポンパドゥール夫人やマリー・アントワネットが象徴として挙げられることも多い。スービーズ館の「冬の間」と「夏の間」はロココ室内装飾の典型とされる。

フランス歴史博物館(スービーズ館)

ロココの代表建築として名高い元貴族の館。ルイ14世、ナポレオンなどフランスの歴史上重要な人物の古文書などを保管する博物館だ。

download

スービーズ館(フランス歴史博物館)

現地名:
Hôtel de Soubíse(Musée de Archives Nationales)
住所:
60 Rue des Francs-Bourgeois, 3e
地図を見る »
アクセス:
メトロ11号線 Rembuteau ランビュトー駅から徒歩5分
TEL:
01-40-27-60-96
営業時間:
10:00(土・日曜14:00)~17:30
定休日:
火曜、祝日 
Webサイト:
http://www.archives-nationales.culture.gouv.fr

新古典主義〜折衷主義建築 —— 18世紀末〜19世紀末

建築家にとって、新古典主義は過去の法則に縛られない新しい形態と構造の追究だった。折衷主義は欧州のものだけでなく、多様な様式を組み合わせた。

新古典主義様式

18世紀半ばから19世紀半ばまで隆盛した様式。古代ローマやギリシャの建築を手本としつつ、そこに建築の本質を問う思想的な運動でもあったが、ナポレオン1世の即位後はその権力を示すものとして利用された。様式誕生の背景としては、ロココやバロック様式の過剰な装飾に対する批判や、革命という大事件の影響、ポンペイなどの古代遺跡発掘による古代世界への傾倒、啓蒙思想の躍進などが挙げられる。

建築の本質を求める動きのなかで、古代の建築様式を模倣するだけではなく、古代建築の真の姿がさまざまな方向から模索された。考古学的な見方で正確に造形を再現しようとするもの、理論的に構造を解釈して、より単純な形に再構成するものなどだ。建物の特徴としては、古代建築様式の円柱が意識的に用いられ、装飾は少なく厳格な雰囲気が漂う。

パリでは、新古典主義の偉人ジャック・ジェルマン・スフローによるパンテオンや、ナポレオンの命により建てられた凱旋門、マドレーヌ寺院などが代表的だ。この時代には啓蒙思想の影響もあり、市庁舎、博物館、図書館、病院など公共建築を一流建築家が手がけた。

凱旋門

高さ50m、幅45mの世界的に有名な門。全体像は古代ローマのティトリス帝記念門から着想されたという。

download

凱旋門

現地名:
Arc de Triomphe(パリ)
住所:
Pl. Charles de Gaulle, 8e
地図を見る »
アクセス:
メトロ1・2・6号線Charles de Gaulle-Étoile シャルル・ド・ゴール・エトワール駅から徒歩3分
TEL:
01-55-37-73-77
営業時間:
10:00~23:00(10~3月は~22:30)
定休日:
1/1、5/1、12/25、国家的行事のある日の午前 

パンテオン

古代ローマ神殿のようなファサードを持つ。1790年の完成時はサント・ジュヌヴィエーヴ教会堂という名だった。設計はジャック・シェルマン・スフロー。

51497

パンテオン

現地名:
Panthéon
住所:
Pl. du Panthéon, 5e
地図を見る »
アクセス:
RER B線Luxembourgリュクサンブール駅から徒歩5分
TEL:
01-44-32-18-00
営業時間:
10:00~17:15(4~9月は~17:45、閉場は各45分後)
定休日:
1/1、5/1、12/25 
Webサイト:
http://pantheon.monuments-nationaux.fr

歴史主義様式、折衷主義様式

議論が尽くされ、ローマやギリシャの古典建築の価値が相対的になると、それまでの建築様式のリヴァイヴァルがブームに。ネオ・ゴシックやネオ・バロック、ネオ・ルネサンスなど、さまざまな様式が見直され、いくつもの時代や国の様式を織り込んだ様式も生まれた。たとえば、パリのサクレ・クール寺院はビザンツとロマネスクの合体様式だ。19世紀に活発化したこの様式は歴史主義、折衷主義と呼ばれる。

1853~1869年、パリを一新する都市計画が県知事オスマンのもとで施行された。採用されたのはネオ・バロック様式だったが、単なる再現以上に新しく、第二帝政様式と呼ばれることもある。代表的な例はガルニエによるオペラ座だ。この時期の建築としてはほかにアレクサンドル3世橋、リュフェルによるルーヴル宮増築が挙げられる。

ゴシック建築が注目を集めた19世紀には、マドレーヌ寺院や、サント・シャペル、ノートル・ダム大聖堂などが中世建築を研究するヴィオレ・ル・デュクの手により修復された。

オペラ・ガルニエ

171の設計案のなかから採用されたのは当時35歳のガルニエの案。起工から13年の歳月をかけ、幅125m、奥行73m、総面積1万1000㎡の劇場が1875年に誕生。

52386

オペラ座(パレ・ガルニエ)

現地名:
Opéra(Palais Garnier)
住所:
8 Rue Scribe, 9e
地図を見る »
アクセス:
メトロ3・7・8号線Opéraオペラ駅からすぐ
TEL:
01-75-25-24-23
営業時間:
見学10:00~16:30(7月中旬~9月初旬、学校の休暇期間は~17:00、午後に公演のある日は~12:30)、閉館は各30分後
定休日:
1/1、5/1、公演期間中 
Webサイト:
http://www.operadeparis.fr

1900年の万博のためにレサールとアルビがデザイン。巨大な鉄の単一アーチからなり、金属による花模様とランプで装飾。

34111038816_be3b2f7fce_z
Paris Pont Alexandre, by The Bei Posti, CC BY

アレクサンドル3世橋

現地名:
Pont Alexandre Ⅲ
アクセス:
メトロ8・13号線/RER C線 Invalides アンヴァリッド駅から徒歩1分

モダン〜現代建築 —— 19世紀末〜20世紀

パリの建築の旅もいよいよ最終コーナーへ。アール・ヌーヴォーの旗手ギマール、そして「近代建築の父」といわれたコルビュジエが登場して現代へ続く。

アール・ヌーヴォー様式

「新しい芸術」を意味するこの様式名は、1895年にサミュエル・ビングがパリに「新芸術商会」を設立したことに由来する。19世紀から20世紀初頭にかけてヨーロッパ各地で一世を風靡した建築・美術の運動で、デザイン的特徴は草花にヒントを得た形状や優美で自由な曲線だ。第一次世界大戦によるヨーロッパの荒廃もあり、20年ほどで廃れてしまったが、今でもファンは多い。

フランスを代表するアール・ヌーヴォーの建築家はエクトール・ギマールであった。パリ市内に残るメトロの入口は彼によるデザインのもので、草や、昆虫の羽を思わせるガラス屋根と階段壁面の装飾などを見ることができる。
ほかにもパッサージュや百貨店の建築でアール・ヌーヴォー様式を確認することができる。

また、19世紀は鉄材が普及した時代だった。現在の北駅やオルセー駅(現オルセー美術館)のほか、パリ万博の開催に合わせてエッフェル塔や、グラン・パレ、プチ・パレなどの鉄とガラスの建築が建てられた。新しい時代の象徴として歓迎されたこれらの建築は、様式自体はネオ・ゴシック、ネオ・バロックなどばらばらである。

ギャラリー・ラファイエットパリ・オスマン

1896年創業のヨーロッパ大陸最大の老舗デパート。総面積は7万㎡を誇る。外部は1926年に改装されたが、アール・ヌーヴォーの階段室と中央の見事なガラスのドームは現在も残っている。

53784

ギャラリー・ラファイエット・パリ・オスマン

現地名:
Galeries Lafayette Paris Haussmann
住所:
40 Bd. Haussmann, 9e
地図を見る »
アクセス:
メトロ7・9号線Chaussée d'Antin LaFayetteショセ・ダンタン・ラ・ファイエット駅からすぐ/3・7・8号線Opéra オペラ駅から徒歩3分
TEL:
01-42-82-38-33
営業時間:
9:30~20:00(木曜は~20:30)
定休日:
日曜、祝日(特別営業日あり) 
Webサイト:
http://www.galerieslafayette.com

パッサージュ・デ・パノラマ

パッサージュは19世紀に建造されたガラス屋根のアーケード街で、セーヌ右岸に点在する。ここは現存するパッサージュのなかで最も古い建物のうちのひとつで、1800年に完成した。

download

パッサージュ・デ・パノラマ

現地名:
Passage des Panoramas
住所:
Passage Panorama, 2e
地図を見る »
アクセス:
メトロ8・9号線Grands Boulevardsグラン・ブールヴァール駅/Richelieu Drouot リシュリュー・ドルーオ駅から徒歩3分、メトロ3号線Bourseブルス駅から徒歩5分
営業時間:
6:00~翌0:30
定休日:
無休 

集合住宅建築

19世紀から使われ始めた鉄、ガラス、コンクリートといった新素材は、オーギュスト・ペレなどの手により使用法が洗練されていった。コンクリートの父と呼ばれる彼は、フランクラン通りやパッシー門広場の住宅など優れた作品を残している。19世紀末には民衆のための集合住宅建設が活発化し、アンリ・ソヴァージュなどの建築家がHBM(低家賃の公共集合住宅)建設に関わっている。このあと、1922年に「住宅は住むための機械である」と著作で述べた、近代建築の巨匠と評されるル・コルビュジエが台頭することになる。

現代建築

第二次世界大戦においてパリは市内の被害が少なく、そのために現在もオスマンの大改造以降の建物は保存されたままだ。しかし、戦後の復興と経済発展にともない、パリは急増した人口に対する住居確保などに対応する必要に迫られた。そこで、都市の現代化として高層ビルの建設が進められた。この方針は1970年代半ばまで続き、エッフェル塔以南の地帯は現在もビルが建ち並ぶ。トゥール・モンパルナスが建てられたのもこの時期だ。

また、戦後はポンピドゥーやミッテランといった大統領主導による巨大再開発プロジェクトが進められた。1977年開館のポンピドゥー・センターや、フォーラム・デ・アルはポンピドゥー政権下で建てられた。ミッテランが進めたグラン・プロジェでは、オペラ・バスティーユや新国立図書館、新凱旋門が新設され、ルーヴル美術館の全面改造により、ガラスのピラミッドが現れた。これらの建物は新しいパリのモニュメントとして不思議と街と調和している。

新凱旋門

パリの副都心ラ・デファンスで必見。大理石製の白いアーチは高さと奥行が110m、幅106m。

54389

新凱旋門

現地名:
La Grande Arche
住所:
1 Parvis de la Défense
地図を見る »
アクセス:
メトロ1号線、RER A線 La Défense Grande Arche ラ・デファンス・グランダルシュ駅から徒歩1分
TEL:
01-49-07-27-27
営業時間:
10:00~20:00(9~3月は~19:00)
定休日:
無休 
Webサイト:
http://www.grandearche.com

ポンピドゥー・センター

レンゾ・ピアノとリチャード・ロジャースが設計。元大統領のポンピドゥーが提唱した「現代的芸術創造」を主題に、美術館や映画館が入っている。

54523

ポンピドゥー・センター

現地名:
Centre Georges Pompidou
住所:
Pl. Georges Pompidou, 4e
地図を見る »
アクセス:
メトロ11号線Rambuteauランビュトー駅からすぐ
TEL:
01-44-78-12-33
営業時間:
11:00~22:00(木曜は~23:00)、施設により異なる
定休日:
火曜、5/1 
Webサイト:
http://www.centrepompidou.fr

アール・ヌーヴォーの旗手 ギマールの建築

今なおパリの街を新鮮に彩るギマールの建築物は、まるで生き物のようにうねる曲線が魅力的だ。
エクトール・ギマールはカステル・ベランジェの設計で非常に賞賛され、これをきっかけにメトロの駅入口のデザインを依頼される。複数のパターンをデザインし、これが鉄材の使用により量産された。10年後にメトロの仕事を終え、ラ・フォンテーヌ街に集合住宅を建設。手すりなどに驚異の発明能力を見せ、その後の建築に多大な影響を与えた。

68370

メザラ邸

M9号線 Jasmin ジャスマン駅から徒歩5分

68338

メザラ邸

現地名:
Hôtel Mezzara
アクセス:
メトロ9号線 Jasmin ジャスマン駅から徒歩5分

ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ通りの集合住宅

M9号線 Jasmin ジャスマン駅から徒歩8分

68331

ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ通りの集合住宅

現地名:
Rue Jean de La Fontaine
アクセス:
メトロ9号線 Jasmin ジャスマン駅から徒歩8分

カステル・ベランジェ

M9号線 Ranelagh ラヌラグ駅から徒歩8分
1895~1897年にギマールが設計した集合住宅で、最も初期のアール・ヌーヴォー建築例。パリ市から賞を授けられた。

68324

カステル・ベランジェ

現地名:
Castel Béranger
住所:
14 Rue Jean de la Fontaine, 16e
地図を見る »
アクセス:
メトロ9号線 Ranelaghラヌラグ駅から徒歩8分

今なおモダンな近代建築の父 コルビュジエの建築

コルビュジエが提唱した近代建築5原則を具現化した、モダンで洗練された美しいデザインをみせる。
ル・コルビュジエの代表作サヴォワ邸はパリ郊外のポワッシーにある。彼が1926年に提唱した近代建築5原則、つまりピロティ、屋上庭園、自由な平面、横に長い窓、自由な立面を具現化している。また16区のラ・ロシュ・ジャンヌレ邸もコルビュジエの手によるもの。奥の邸宅は見学が可能だ。近くのアトリエも公開している。

69102

サヴォワ邸

69111
69116

サヴォワ邸

現地名:
Villa Savoye
住所:
82 Rue de Villiers, Poissy
地図を見る »
アクセス:
RER A5号線 Poissy ポワッシー駅からバスで5分
TEL:
01-39-65-01-06
営業時間:
10:00~18:00(9~4月は~17:00)
定休日:
月曜、一部祝日 
Webサイト:
http://villa-savoye.monuments-nationaux.fr

ラ・ロシュ・ジャンヌレ邸

69207

ラ・ロシュ・ジャンヌレ邸

現地名:
Villas La Roche-Jeanneret
住所:
8-10 Square du Docteur Blanche, 16e
地図を見る »
アクセス:
メトロ9号線 Jasmin ジャスマン駅から徒歩5分
TEL:
01-42-88-41-53
営業時間:
10:00(月曜13:30)~18:00
定休日:
日曜、祝日 
Webサイト:
http://www.fondationlecorbusier.fr

トラベルデイズ パリ

  • 発売日:2012年07月02日

筆者 : Fish & Tips

Fish and Tipsでは、海外旅行のコツやノウハウ、海外で話題のスポット、人気のホテル等、おすすめの海外旅行情報を配信しています。

奥付:
この記事の出展元は「トラベルデイズ パリ」です。掲載している情報は、2016年5〜7月にかけての取材・調査によるものです。掲載している情報、商品、料理、宿泊料金などに関しては、取材および調査時のもので、実際に旅行される際には変更されている場合があります。 最新の情報は、現地の観光案内所などでご確認ください。