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まっぷるマガジン編集部

更新日:2020年4月13日

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オーストリア【インスブルック】マリア・テレジアが愛した都

マリア・テレジアが心から愛し続けた都。ウィーンから約430km、鉄道で約4時間30分。

アルプスに抱かれつつハプスブルク家の栄華をたどる

オーストリア南西部に位置するインスブルックは、北のドイツへ向かえばアールベルク峠が、南のイタリアへ向かえばブレンナー峠が構えており、いわばアルプス越えの要衝として街が形成されてきた。交易の中継地点としての役割を拡大することになったのは、1187年頃にイン川に最初に橋が架けられてから(インスブルックという名称は「イン川に架かる橋」という意味)。それをきっかけに交通量が増え、街はさらに重要度を増した。現在の旧市街の基礎はこのときに築かれたものだ。

1363年頃になると、この地でハプスブルク家の統治が始まる。文化芸術に造詣が深く、中世最後の騎士と謳われたマクシミリアン1世(1459〜1519)がここに都を移したことで、街は行政、経済、文化の中心地として、一気に発展を遂げることとなる。各地から集まる商人の往来はますます盛んになり、当時のインスブルックではチロルの鉱山から採掘した資源で武器工場まで建てられ、最新型甲冑の開発製造が行なわれていたという。マクシミリアン1世はハプスブルク帝国の本拠地としての基盤整備を進めるとともに、その財力を誇示するかのように、絢爛豪華な建物を造り続けた。それはアンブラス城を大改修したフェルディナント2世の時代まで続き、街が最盛期を迎えたのがフランツ1世の妻であるマリア・テレジアがこの地で政治家として陣頭指揮を執った時代。王宮を改修し、凱旋門を建設するなど、現在につながるさまざまな建築物を遺した。歩行者専用ゾーンになっている旧市街は、マリア・テレジアが生きていた頃の時代そのまま。街の随所に残るハプスブルク家の繁栄の面影を探りながら、散策を楽しみたい。

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人口12万人弱のこぢんまりした街は、山肌から吹き下ろす風で空気がすがすがしい

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イン川南側に位置する旧市街

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西オーストリア最大級の中央駅

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「エルカー」と呼ばれる出窓

観光案内所

中央駅観光案内所(ホテル・インフォメーション)
0512-562000
中央駅
中央駅内
8:00〜17:00
無休
www.innsbruck.info

インスブルック観光局
0512-53560
Burggraben 3
1番 Maria-Theresien-Straße マリア・テレージエン・シュトラーセから徒歩2分
9:00〜18:00
無休

チロル・インフォメーション
0512-72720
Maria Theresien Straße 55
3番 Anichstraße/Rathaus galerien アニッヒシュトラーセ/ラートハウスガレリエンから徒歩3分
8:00〜18:00
土・日曜、祝日
www.tirol.com

インドア派もアウトドア派も希望を叶えられる街

現在はチロルの州都となっているインスブルックにはさまざまな楽しみ方がある。まずインドア派におすすめなのは、美術館・博物館・劇場巡り。じつはチロルはワルツの発祥の地ということもあって、舞踏会がたいへん盛んに行なわれており、カーニバルシーズン中に開催されている数は、人口比ではウィーンよりも多いといわれるほど。また1629年に建てられたチロル州立劇場は重厚感たっぷりの古典様式。日々多彩なオペラやミュージカル、演劇が上演されているので、スケジュールをぜひチェックしてみたい。

アウトドア派におすすめなのは、もちろん山々でのアクティビティ。アルプスの玄関口といわれているインスブルックは、北側にノルトケッテ連峰を見晴らし、周囲を2000m級の山々に囲まれている。ちょっと足を延ばせば、そこはのどかな自然に恵まれたチロルの村々。夏はハイキングやサイクリング、冬はスキーにスノーボードが楽しめる。冬季オリンピックが2度開催されているので、アルペンリゾートのメッカとしても知られている。

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市の塔から眺めると、周囲を迫りくる大自然に囲まれている街を見ることができる

ウィーンからのアクセス

鉄道
Wien Westbahnhof ウィーン西駅から Innsbruck Hauptbahnhof インスブルック中央駅まで、特急で約4時間30分。

飛行機
ウィーンからの国内便は1日5〜6便。所要時間約1時間15分。インスブルック空港
www.innsbruck-airport.com

市内交通

バス(アウトブス Autobus) 
市内のほとんどを網羅している地元の人の足。郊外へ行くときにも便利。乗場は中央駅前の広場。観光案内所で Liniennetzplan リーニエンネッツプラン(無料の交通路線図)と、Fahrplanファールプラン(無料の時刻表)が手に入る。
www.vvt.atwww.ivb.at
1回乗車券€2.30、5回乗車券€8、24時間乗車券€5.10

市電(シュトラーセンバーン Straßenbahn)
乗場はバスと同じ。市内中心部まで充実した路線網を持っている。一方通行なので、同じ路線でも行きと帰りで道が違う場合があるので、注意。※切符は市電と共通

サイトシーアバス Sightseerbus
旧市街から離れた場所にあるアンブラス城、ベルクイーゼル、アルペン動物園など21か所の見どころを巡回する観光バス。集合場所はトラムのMarktplatz マルクトプラッツ。
1日乗車券(乗り降り自由)€14
www.sightseer.at

インスブルック・カード

市の塔

まずは展望台から街を一望

1360年に旧市庁舎付属の鐘楼としてゴシック様式で建てられた。148段の階段を上った展望台からは、イン川と街並、そしてチロルアルプスのノルトケッテ連峰を見晴らすことができる。

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1560年に玉ネギ型屋根に改修

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地上33mの市の塔から見た黄金の小屋根

市の塔

現地名:
Stadtturm
住所:
Herzog-Friedrich-Straße 21
地図を見る »
アクセス:
トラム1番Maria-Theresien-Straßeマリア・テレージエン・シュトラーセから徒歩2分
TEL:
0512-587113
営業時間:
10:00~17:00(6~9月は~20:00)
定休日:
無休 

凱旋門

女帝の喜びと悲しみが深く刻まれた門

1765年マリア・テレジアが息子レオポルト2世の結婚を祝して着工。だが建設期間中に最愛の夫が急逝したため、南面に「生と幸福」、北面に「死と悲しみ」のモチーフが刻まれた。

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マリア・テレジア通りの凱旋門。周囲にはカフェが多い

凱旋門

現地名:
Triumphpforte
住所:
Maria-Theresien-Straße
地図を見る »
アクセス:
トラム3番Triumphpforteトリウンフプフォルテから徒歩1分

聖アンナ記念柱

王位継承戦争にちなんだモニュメント

1706年、スペイン王位継承戦争の際にバイエルン軍の侵略から街が守られたことを記念して建立。柱の下方にいるのが、聖アンナ像。ドイツの方向を手で制止する姿で立っている。

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白大理石の柱は高さ13m

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柱の上に立つ聖母マリア

聖アンナ記念柱

現地名:
Annasäule
住所:
Maria-Theresien-Strasse 18
地図を見る »
アクセス:
トラム3番Anichstraße/Rathaus galerienアニッヒシュトラーセ/ラートハウスガレリエンから徒歩1分

黄金の小屋根

まばゆいばかりの金箔張り宮廷用観覧席

1494年、マクシミリアン1世がチロル領主の住居を広場での出し物を観るために大改造。当時の職人技術を結集し2657枚の金箔を貼るなど、絢爛豪華なバルコニーに変貌させた。

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屋根は銅板金箔張

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建物3階はマクシミリアン博物館

黄金の小屋根

現地名:
Goldenes Dachl
住所:
Herzog-Friedrich-Straße 15
地図を見る »
アクセス:
トラム1番Maria-Theresien-Straßeマリア・テレージエン・シュトラーセから徒歩3分
Webサイト:
http://www.goldenes-dachl.at

ヘルブリングハウス

ロココ調の華麗な建物にうっとり

「黄金の小屋根」のはす向かいにある、貴族のお屋敷。現在は住居と店舗になっていて、ゴシック様式の建築物が多いなか、ロココ調の淡いピンクと花模様の漆喰装飾が目立つ。

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ケーキのように繊細な装飾がひときわ目をひく

ヘルブリングハウス

現地名:
Helblinghaus
住所:
Herzog-Friedrich-Straße
地図を見る »
アクセス:
トラム1番Maria-Theresien-Straßeマリア・テレージエン・シュトラーセから徒歩3分
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奥付:
この記事の出展元は「まっぷるウィーン プラハ・ブダペスト」です。掲載されているデータは、2016年5〜8月の取材・調査によるものです。掲載している情報、商品、料理、宿泊料金などに関しては、取材および調査時のもので、実際に旅行される際には変更されている場合があります。 最新の情報は、現地の観光案内所などでご確認ください。

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。