2017年9月10日

アメリカ

ミズーリ州の奇妙な珍名所と名物カンザスシティ式BBQを堪能する4選

by シュローダー彩

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筆者撮影

今回ご紹介するのは、アメリカ・ミズーリ州の中でもある意味でかなり難易度の高い奇妙過ぎる不思議でならない、知る人ぞ知るかなり謎多き珍名所「カップ・ツリー」と「シューズ・フェンス」の2選と、アメリカでは幾つかの州で違ったこだわりと特別なソースを使って作る、この国の誇り高き伝統料理と言って間違い無いであろう「バーべキュー」の、ミズーリ州の主要都市であるその名を冠された、名実ともにアメリカ国内でも人気の高いバーベキュー料理「カンザスシティスタイルのバーベキュー」や、この州の代表的な巨大な湖畔「オザークス湖」に面した、イベントや音楽を楽しめ、ボートやウェーブランナーのアクティビティまで堪能することができる真夏の海の家の大型版・アメリカのビーチリゾートならではの開放的なレストランをご紹介します!

まずはここから!カンザス名物「カンザスシティ式BBQ」を味わおう!

ミズーリ州の最も大きな主要都市として知られる、その名も「カンザスシティ」。皆さんの中にも、一度は耳にしたことがある方がいらっしゃるのではないでしょうか。私の場合、お恥ずかしいことに「カンザスシティ」という名をアメリカのスーパーでは五万と種類のあるバーベキューソースのコーナーで見聞きする機会があり知っていましたが、それがミズーリ州の主要都市であると知ったのはこの旅行が決まってからのことでした。さて、そんな州ごとのこだわりや手法が詰まったアメリカの伝統料理バーベキュー。ここミズーリ州の「カンザスシティスタイルバーベキュー」とは、一体どんなものなのか実際に現地で人気のお店の味を味わいながらご説明いたしましょう!

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筆者撮影

やってきたのは「DEMPSEY’S BBQ」というお店です。地元産牛肉100%を使用しているというこちらのお店。アメリカでは特にとりわけバーベキューのお店で多いのが家族経営で秘伝のソースのレシピを親から子へ、子から孫へ、と門外不出として代々その味を伝統として受け継ぎ、他では味わえないこの店ならではの味として後世に名を残すお店が多いのです。どうやらこのお店もその一つのようで「シグネチャーであるバーボンバーベキューソース」と「ヒッコリーで燻製した肉」など食欲をそそる文字がメニューに並んでいます。

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筆者撮影

そういった「秘伝」(特に使用するスパイスなどは最も重要でどの店でも決して教えてくれません)を抜きにして、基本的な「カンザスシティスタイルのバーベキューソース」とは一体どんなものなのかを端的に説明すると、このソースの一般的な特徴は濃厚で重みのある、こってりとした赤みの強い赤褐色をしたソースがベースであることでしょう。これは、原料にトマトとモラセス(糖蜜)をふんだんに使用しているためで、さらにそこに砂糖やビネガー、様々なスパイスで奥行きを出します。

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また、この風味をさらに奥深い味わいにして「カンザスシティスタイルバーベキュー」として完成させるために必要不可欠であるのが、じっくりゆっくりと時間をかけて様々な木材の種類を使用し、丹念に燻製させながらバーベキュー専用のグリルでジューシーに焼き上げたお肉。

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筆者撮影

これをなくして、「カンザスシティスタイルバーベキュー」たるものが一体どんな特別な風味を持ったBBQであるのかを語ることは難しいと言えるのではないでしょうか。

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お店によって、燻製させる肉のために使う木材の種類や組み合わせが様々に違う理由も、この香りづけが料理の風味を左右し、完成させる上でとても重要な役割を担っているためでしょう。

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筆者撮影

このお店では「マイルド」と「ホット」の2種類のBBQソースが卓上に常備されていました。また、お肉も豚肉、牛肉、チキンと、様々な種類があり、場合によっては羊肉や魚までバーベキューにしてしまうのが「カンザス式」なんだそうです。そしてさらにおもしろい特徴だと思ったのがサイドメニューの豊富さです。

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ベークドビーンズやフレンチフライ、コールスローやマカロニ&チーズ、ポテトサラダなどクラシックでありながらたくさんの種類のサイドディッシュメニューがあることも、この「カンザスシティスタイルバーベキュー」の特徴の一つ。2種類の大盛りサイドディッシュとメインの山積みBBQポーク、上には厚みがあるトーストが帽子のように乗ったセットは、男性でも全てぺろりと平らげるのは至難の技かもしれません。また、豆情報としてこのお店の自家製BBQソースは店内で購入できます。

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筆者撮影

【 DEMPSEY’S BBQ 】
所在地:103 NE 2nd St Concordia MO 64020
営業時間:(日〜木)AM11:00 – PM21:00
     (金〜土)AM11:00 – PM23:00
定休日:7/4
参考価格:PLATTERS ( 2 Sides & Toast)/Pulled Pork…$11/Brisket…$12.50
HP: http://www.dempseysbbq.com/

想像とはまるで別物?!ティーカップが吊るされた奇妙なツリーとは!?

お腹もいっぱいになり、しっかりと腹ごしらえをしたところで次に向かう目的地が、冒頭でもご紹介した「珍名所」として、知る人ぞ知る謎多き観光スポット「カップ・ツリー」と、その近くに存在する、これまた奇妙で不思議としか言いようのない「シューズ・フェンス」の2つの観光スポット。

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この場所を知ることができた理由は、ミズーリ州にかれこれ25年以上前に短い間でありながら住んでいたという過去を持つ、主人一家の思い出があったからこそです。地元やこの手の奇妙な珍名所ハンターさんでもなければ、発見すらできないような不思議な・・・見ようによってはちょっと不気味でもある観光スポットです。まずはメインの大御所「カップ・ツリー」へ。

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これは文字通り直訳すると「ザ・カップの木」です。どうしてこの名がついたのかというと・・・。同行した主人のお姉さんに最初、何の事前情報もないままにこの「カップ・ツリー」にまつわるお話を聞いたところ、私の中でそれは「緑の生い茂る大木の枝に、様々な種類のデザインをしたティーカップがプラプラと、カラフルなリボンで小枝に結ばれてぶら下がっているというなんともファンシーでロマンティックな、まるで”不思議の国のアリスのお茶会”を彷彿とさせる夢の世界」が脳内イメージとして出来上がっていました。しかし!!実際に到着した現地で待っていたのは想像していた夢の世界とはまるでかけ離れた「ザ・カップの木」でした。少なくとも1950年以上前に始められたとされる、かつて立派な黒い樫の木であったというこの「カップ・ツリー」。昔はこの黒樫の木の枝に、ティーソーサーやコーヒーポットなどもリボンで結びつけられていたらしいのですが・・・。

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筆者撮影

待っていたのは、そんなかわいらしい光景ではなく、どっしりした形のアメリカのコーヒーカップやマグを「釘」でこの木の幹に直接打ち付けて留めているという、植物を愛する人からしたら悲鳴が上がりそうな残酷な光景・・・。肝心のこの黒樫の木自身も、上半分は既に無く、かろうじて根を張った部分で立っているという様子で、寿命はとうに尽きているようでした。見ようによっては、日本の五寸釘の呪いの藁(わら)人形の儀式をもチラつかせる、不気味な雰囲気が漂います。この「カップ・ツリー」の立派な黒樫の木の頃の面影を知る主人とお姉さんは、この木が枯れ果て残酷な名残のみをこの地に残していることにショックを隠せない様子でした。

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かつて、この場所を共に観光した数少ない証人の一人、親戚のドンおじさんによると「そりゃそうさ「銅製の釘で静かに木を殺す」なんて、アメリカ人なら誰もが知っている隣人への嫌がらせだろう?この木にだってあれだけ無数の釘を打ちつけりゃ、もしそれが銅製であっただろうとなかろうと、いずれはそれと同じようなことが、この木に起きて当然だと思っていたんだ」と興味深い発言を聞くことができました。どうやら昔、アメリカでは気に入らないご近所さんの庭の木の根元に、夜中にこっそりと「銅製の釘」を打ち付けて枯らし、こっそりとほくそ笑むという、かなりダークで陰湿な嫌がらせが(現在はわかりませんが)存在していたそうです。植物に疎い私は全く知りませんでしたが、まさしく結果はご覧の有様というところ・・・。植物に対してこのような真似は、皆様は決して行わないようこの場を借りてお願い申し上げます。

シューズ、シューズ、シューズ!新旧入り混じる「シューズで出来た柵」

さてこのかつての面影を失いつつも、長年この近隣の人々に親しまれてきたであろう、このミズーリ州に存在する珍名所「カップ・ツリー」この木に由来した名前の車道「カップツリー・ドライブ」を少し行くと、もう一つのこの地の奇妙で不思議!と名高い珍名所「シューズ・フェンス」の存在を確かめることができます。

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こちらは毎年新しい靴が今も新調して取り付けられたり古くボロボロになった靴が撤去されたりと、その靴量が増えたり減ったりしながらも現役でその奇妙な存在を主張する「シューズで製作された長〜い柵(フェンス)」です。

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筆者撮影

「カップ・ツリー」との観光をセットに、この2ヶ所は年間約1000人の観光客が訪れるとも言われています。柵のフェンス部分は全て靴とその靴紐を使って、器用に括り付けられていて、中には新品同様のものや片方だけのもの、靴紐のないものや紐が足りないために、柵の柄の部分に刺したものまでありました。しかしこの「シューズ・フェンス」、私の予想以上に結構な長さがありびっくりしました。車道沿いにこつぜんと何の前触れもなく現れるので、何も知らずにここを通り過ぎたら度肝を抜かれてしまう事は間違いありません!

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【 The Cup Tree / Shoe Fence 】
所在地:33573 Cup Tree Dr, Gravois Mills, MO 65037
注意事項:ここは個人のお宅であり、静かな林の中の住宅地の一角です。良識と常識を持って行動して下さい。夜間・早朝の訪問、騒音、ゴミやタバコのポイ捨てなど、非常識な行動は慎んでください。
HP:なし
(※「シューズ・フェンス」は「カップ・ツリー」から約8kmほど離れたCup Tree Drの車道沿いに存在します)

気分は南国リゾート?ビーチの砂浜、陽気で開放的なパブ・レストランへ!

こうして狐につままれたような世にも不思議な珍名所観光を終えたら、気分を一新するために訪れて欲しい、賑やかな場所がこちらです。

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ミズーリ州をきって代表する巨大な人工湖「オザークス湖」。その湖畔に沿って建てられた、この湖周辺に広がる数多くのリゾートエリアの一つ、ビーチと一体化したパブ・レストラン「Franky & Louie’s」です。

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なんとこのパブ・レストラン、ライブミュージックやイベントを行う会場までをも敷地内に包括するほか、野外には砂浜のビーチにバレーボールのプレイグラウンド、さらにはボートやウェーブランナーを貸し出す乗艇場も設置されているというリゾート気分全開!な多角経営レストランなのです。例えるなら「アメリカ版スケールの巨大な海の家」というところでしょうか?とにかくダダダーッ!と広い敷地内は屋根のあるレストランエリアと、ビーチに直接繋がった屋根代わりにパラソルで常夏気分を味わえる、開放的な雰囲気のレストランエリアの2つに大きく分割されていました。

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さて、せっかくミズーリ州にいるのですから、ここでもBBQやスモーク(燻製)といったこの州の誇るソウルフードを堪能することにします。一つは、シグネチャーBBQソースを使っているとある「バーベキューポークのサンドイッチ」を。おもしろいことに、他では見かけたことのない、カッテージチーズなど、物珍しいサイドメニューがちらほらとメニューに並んでいました。この日選んだ1つ目のサイドメニュー、王道のフレンチフライは衣が薄い層になって重なっているような、空気感を含んだサクサクの食感で手が止まらない美味しさです。

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テンダーポークは噛むだけで口の中で崩れるほど柔らかく調理されていて、しかしパサパサしたドライな状態ではなく、肉汁と油脂がバランス良く行き渡っておりとてもジューシーで、トマトベースの甘酸っぱくお酢が効いたBBQソースも合わさると、予想外にさっぱりといただけました!

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そして今回気になってオーダーしたもう一品がこちらのヒッコリー・スモークドウィング(ヒッコリーで燻(いぶ)した鶏手羽)です。通常のバッファローウィングとは異なるこちらの注目すべきポイントは、油で揚げずにヒッコリーの燻製用木材を使用し、燻しながらじっくりとグリルして鶏手羽(ウィング)スモーキーな燻製の香り付けを行ったというもの!ウェイトレスのお姉さんに説明を聞いただけで、もう喉がゴクリとなってしまうこのヒッコリー・スモークドウィングは好みのディップソースを添えて提供されます。今回は「ハニーマスタードソース」で。

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付け合わせは、セロリでもニンジンでもなくピクルス。驚かれる方も多いと思いますが、アメリカではバッファローウィングを提供する様々なお店で、薄切りのピクルスに衣をつけて揚げた「フライドピクルス」なども大変な人気商品なのです!さてまずは、ソースを付けずに頂いてみたのですが、予想以上に、ほんのりとかすかな燻製の香りを楽しめるといった程度でした。燻製の風味でむせかえるほど香ばしく、ナッツのように重厚感あるヒッコリーの風味を期待していて内心”ソースなんていらないのでは?”と思っていたので、拍子抜けしてしまいました。しかしながらこのアイディア、ぜひいつかキャンプで試してみたいなと思いました!

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【 Franky & Louie’s 】
所在地:1028 Deer Valley Rd, Sunrise Beach, MO 65079
営業時間:(月〜金)AM11:00 – 閉店時間まで
     (土〜日)AM8:00 – 閉店時間まで
営業日:5/1 – 9/1までの季節営業。期間中は定休日なし。
参考価格:BBQ Pork Sandwich…$10.99/Hickory Smoked Wings…$11.99/
HP: http://frankyandlouies.com/

筆者 : シュローダー彩

ルコルドンブルー卒業後、ピエールエルメ、赤坂のイタリアンレストランでディオールやイタリア大使館などのパティシエを務める。 現在はシアトルに在住。『地球の歩き方』でも記事を執筆。食べる事が趣味。HPはこちら