タイ料理は歴史を知れば全部わかる
Arun Katiyar, CC BY-SA

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日:2020年4月13日

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トムヤムクンやタイカレーに代表されるタイ料理は、唐辛子で真っ赤っ赤なのもあるし、見るからに辛いというイメージがありますが、実際は辛いだけがタイ料理ではありません。タイ人はルーツが中国雲南省にあるといわれているので、元々のタイ料理は辛くはありません。唐辛子も後世に外国から入ってきたものです。ではなぜ今のタイ料理にこんなに辛いものがあるのでしょうか。

タイ料理の歴史

タイは地理的にはインドシナ半島にあり、文化的には中国文化圏とインド文化圏の両方の影響を受けています。「インドシナ」という名前自体が「インド-中国」という意味なので、両方の文化のせめぎ合いの場所なのです。

Rob Taylor, CC BY
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タイ料理も例外でなく、中華料理とインド料理両方の影響を受けています。揚げたり、炒めたり、蒸したりするのは中国から来た料理法です。タイでよく見かける中華なべやセイロなどは、その道具として中国から来ました。それに対して、 強烈に辛いスパイスを使うカレーはインドから来ました。

辛くないタイ料理もある

もうおわかりでしょうが、辛いタイ料理はインド料理の影響なのです。したがって辛いのを敬遠したいなら、中華料理から来ている料理を選べば、まったく辛くないのが沢山あります。たとえばカオパット(チャーハン)、カオマンガイ(鷄飯)、バミー(ラーメン)、クイティオ(きしめん)、チョーク(おかゆ)、ナームチュート(薄味スープ)等、豊富にあります。

カオパット, Ron Dollete, CC BY-ND
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カオマンガイ, Takeaway, CC BY-SA
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バミー(ラーメン), kazuhiro kimura, CC BY-SA
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クイティオ(きしめん), wikipedia, CC BY-SA
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辛い理由

でも見た目は中華料理風なのに、食べてみると物すごく辛いのがあります。それは本来は辛くないのですが、一般タイ人の好みに合わせて、唐辛子を大量に入れられたためです。

Hans Splinter, CC BY-ND
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タイ人は本当に辛いもの好きです。一年中暑い国なので、暑くて食欲が出ないとき、辛い料理は食欲増進に役立つからでしょう。タイ人が食べるのを見ていると、調味料として置いてある輪切り唐辛子の醤油漬けをどっさり入れて、辛い料理をさらに辛くして食べています。辛さの耐性が違うようです。

辛さ対策

かといって日本人にはそんな真似はできません。料理を注文するときに「辛くしないで」と頼むこともできますが、「辛くないとおいしくない!」という料理人の信念のようなもので、聞いてくれないことがあります。頼みを聞いてくれても、そもそも辛さの感覚が日本人とタイ人では大きくズレているので、まだ辛いということもあります。

Doug Knuth, CC BY-SA
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もし運悪く、とてつもなく辛い料理が出てきたら、少しでも辛さの被害を減らす方法はあります。辛さの元凶は唐辛子をつぶしたものです。唐辛子は赤いのもあるし、緑のもあります。それらを料理の中から目ざとく見つけて、拾い出して脇によけて、残った部分を食べると、辛さがかなり和らぎます。

食後にまだ辛さで口がヒリヒリするときは、デザートや果物のような甘い食べ物を食べるといいです。飲み物はあまり効果ありません。ビールなんて、泡の刺激でもっと口内がピリピリするだけです。

タイ料理の楽しみ方

辛い料理と辛くない料理が渾然一体となって、食の世界を作り上げている、それがタイ料理です。今日は昼食に辛いのを食べたから、夕食は辛くないのにしようとか、今回は辛い料理と辛くないスープを抱き合わせて中和しようとか、いろいろ考えて食べる楽しみもあります。

さあ、まずは何から行きますか?

筆者:まっぷるトラベルガイド編集部

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