> スイスの世界文化遺産を見に行こう!

2015年3月26日

スイス

スイスの世界文化遺産を見に行こう!

by Reiserin

© swisshippo - Fotolia.com

スイスにある世界遺産は全部で11箇所。その内の8箇所が文化遺産、残りの3箇所が自然遺産です。3箇所とはいえ、自然遺産のその殆どが、ユングフラウ、アイガー、メンヒなどの名峰を含む山岳地域で、広範囲に渡ります。今回みなさんにご紹介するのは、前者のスイスの世界文化遺産です。

レーティッシュ鉄道アルブラ線/ベルニナ線と周辺の景観

スイスグラウビュンデン州からイタリアのロンバルディア州を走る抜ける、100年の歴史を誇るレーティッシュ鉄道(Rhätische Bahn)は、トゥージス〜サン・モリッツ間を走行するアルブラ線と、サン・モリッツ~ティラーノ(イタリア)間を走行するベルニナ線の2本の鉄道から成る鉄道です。

by kuknauf, CC BY-ND

アルプスに広がる圧倒的な大自然の美景観を壊すことなくレールを敷いた技術と、歯車を噛ませながら登るラック式鉄道が登山列車には多く使用される中、レーシッシュ鉄道は、粘着式鉄道を利用しており、粘着式としてはヨーロッパ最高所を通過するという驚くべき鉄道技術が評価され、2008年にユネスコ文化世界遺産に指定されました。

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by Davide “Dodo” Oliva, CC BY-SA

世界遺産に成るもう一つの要素は、スイスとイタリアの国境をまたぐ、雄大な景色が絶え間なく続く鉄道ということも含まれています。この路線はまた、人気の高いベルニナエクスプレスと氷河特急の一部でもあります。

by kuknauf, CC BY-ND

ベリンツォーナ旧市街の3つの城と防壁・城壁群

歴史ある重要な古都ベリンツォーナ(Bellinzona)は、中世時代、イタリアからを北へと繋ぐ重要な起点の町として、重要な役割を果たしていました。

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by farmerofarmer, CC BY

たどり着くまでが困難を極めた、高所にあるカステルグランデ(巨城)や、13世紀に建設された、城壁に囲われるように菱形に作られ、巡邏路が備えられた非常に複雑な作りのモンテベッロ城、15世紀に建設された、先の2つの城からは少し離れた丘の上に立つサッソ・コルバロ城、15世紀初頭に築かれた、幅4mで現在残るだけでも400mもある分厚い防壁・城壁などは、アルプス地方の貴重な要塞、軍事建築の技術的な模範として、2000年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。

Castello di Montebello
by SteFou!, CC BY
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by crazbabe21, CC BY

カステルグランデ内には、これらの歴史を展示する博物館を供えてあるのでぜひ立ち寄ってみてください。

ザンクト・ガレン修道院

ザンクト・ガレン修道院は、アイルランドから来た聖ガルスが613年に創設したものが基盤です。この修道院が存在する町の名前、ザンクト・ガレン(Sankt Gallen)は、この聖ガルスに由来します。(ドイツ語で「聖」はザンクト)修道院の設立は、後の8世紀です。

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by Alex Queiroz, CC BY

当時、この修道院は学問のメッカとして中世のヨーロッパでその名は知れ渡っていました。現在見られる修道院は18世紀に改築されたもので、当初の面影は全く残っていませんが、バロック様式建築の傑作として高く評価されています。また、約15万冊もある膨大な数の写体や稀観書が収蔵された修道院の図書館は世界最大級の中世図書館として大変高く評価されています。

Wikipedia, CC BY-SA

修道院のこれまでの実績と意義、優れた建築等が総合的に高く評価され、1983年、修道院と図書館はユネスコ世界文化遺産に登録されました。

ベルンの旧市街

ベルン(Bern)の旧市街は、中世の街並みを当時の状態の色を大変良い状態で色濃く残している事から、1983年にユネスコ世界文化遺産に指定されています。

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by twicepix, CC BY-SA

町の歴史は、1191年に、U字型にアーレ川に囲まれるような地形を利用してツェーリンゲ家のベルヒトルト5世によって、砦として創設されたことが始まりです。13世紀初頭のベルトヒトルト5世の死去後、ベルンは神聖ローマ帝国より自由都市の地位を得、ツィットグロッゲ(時計塔)や、城壁、堀、などを築き、都市計画開発が進められていきました。15世紀に大火災に見舞われますが、町は見事に再建されます。後の18世紀になると、町の拡張と共に旧市街全体は大々的に修復され、ベルン大学などの新しい建築物も建設されていきました。

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by Fr Antunes, CC BY

今に残る12世紀から15世紀までの主な建造物
・ツィットグロッゲ(時計塔) 1405年に建造(大火災後の1530年に修復される。)
・大聖堂 1421年から16世紀に建造
・アーケードと地下道 15世紀
・彫刻で装飾された噴水群 16世紀

ラヴォーのブドウ段々畑

ラヴォー (Lavaux) はローザンヌからモントルー郊外のシヨン城にかけてレマン湖沿いに広がる、約30kmに及ぶブドウ畑の丘陵地帯です。

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by kBandara, CC BY

他では見られない、まるで絵のような美しくしさを誇る、レマン湖と、雪のかぶるスイスアルプスの山と、テラスのように美しく広がるブドウの段々畑の光景は、2007年にはユネスコ世界文化遺産に登録されるに至りました。その背景には、風光明媚な景観だけではなく、有数なスイスワインの産地として、ワイン作りの1000年にも及ぶ歴史と伝統が高く評価されたことも理由のひとつです。

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by Nouhailler, CC BY-SA

この地域を俯瞰から見るにはベルン、ローザンヌ間を走る鉄道の車窓から、また、間近で体験するには葡萄畑の合間を縫う小道をハイキングするのがオススメです。

アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群

紀元前5000年〜500年頃、アルプス山脈の周辺のボーデン湖、ツーク湖、ガルダ湖などの湖畔や川沿いに、高床式の家屋(杭上住居)が数多く築かれました。(湖畔に建てられたものは湖上住居とも言う。)これらの貴重な住居群は、スイス周辺の数カ国にまたがっており、スイス(56件)、イタリア(19件)、ドイツ(18件)、フランス(11件)、オーストリア(5件)、スロベニア(2件)の6カ国、計111件から成り立っています。


Wikipedia, CC BY-SA

2011年には、ヨーロッパの新石器時代と青銅器時代の歴史的重要遺産として、ユネスコ世界文化遺産に指定されました。スイスにおける杭上住居およびそれに関する遺物の多くは、ヌーシャテルのラ・テーヌ地区で発掘され、そのために、ヌーシャテル湖畔の北部に、杭上住居の復元が建てられました。また、発掘品を展示する博物館「ラテニウム(Latenium)」も設けられています。

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ラ・ショー=ド=フォンと、ル・ロックル、時計製造業の都市計画

スイス時計産業の総本山、ヌーシャテル州に面したジュラ山脈の裾に広がるラ・ショー=ド=フォンと、ル・ロックルは、時計産業に基づいた都市計画が実行された、ユニーク且つ、美しい町並みを持つニューシャテルの都市です。ル・ロックルは、スイス時計産業の発祥(17世紀)の重要な地として、一方のラ・ショー=ド=フォンは18世紀より発達した時計製造の地として、経済の中心は時計製造が担っていました。

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ラ・ショー=ド=フォン, Public Domain

しかし、この2つの町は、共に火災により町は全焼。それをきっかけに、徐々に都市計画が進められました。時計職人たちのニーズや、防火対策、安全性、除雪スペースや、緑地帯などをしっかりと踏まえた、碁盤目状に区画された町は、以降、文化面、社会面で著しく発展し、特に、ラ・ショー=ド=フォンは、ヌーシャテル州の経済の中心にまで発達しました。

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by westher, CC BY

スイスにおける重要産業である2つの町の、時計製造業に結びく大変優れた都市計画と、その美しい町並みが評価され、2009年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。ラ・ショー=ド=フォンには世界レベルの国際時計博物館が、そしてスイス時計発祥の地、ル・ロックルにはル・ロックル時計博物館もあるので、興味のある方は是非!

ミュンスタイアの、ベネディクト会・聖ヨハネ修道院

ミュンスタヤ(Müstair)は、グラウビュンデン州にある小さな村です。スイスの僻地にあるにもかかわらず、その村には世界中からの旅行客が訪れます。その理由は歴然、世界遺産の聖ヨハネ修道院(Sankt Johann)があるからです。

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by pne, CC BY

カール大帝に命じられたクール司教により、780年頃に築かれた大変古い修道院で、12世紀以降は女子修道院となりました。建築様式は、大変希少なカロリング王朝時代の産物で、保存状態も大変良いため、1983年にユネスコ世界遺産に指定されました。

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by spaceodissey, CC BY

また、20世紀に行われた修復作業の際に、当時あった壁画の下から9世紀〜12世紀に及ぶロマネスク様式の古いフレスコ画が美しい状態で発見され世を騒がせました。外観は大変質素ですが、内装は貴重なフレスコ画が描かれ、大変見応えのある重厚で厳かなな修道院です。

最後に...

スイス全土に点在するスイスの世界文化遺産、これらは意外知られていないのが現実です。この記事を通して、素晴らしいスイスの世界文化遺産を皆さんにも知って頂き、スイス旅行の際に、訪れるきっかけになれば良いと思います。

筆者 : Reiserin

大好きな欧州へ単独移住して15年。スコットランドに3年滞在後「住むように旅するReiserinスタイル」で北欧やドイツを約2年間転々とする。現在は、ヨーロッパを中心に旅をし続けならスイスに落ち着き11年目。