ルクセンブルク 〜 ヨーロッパの小国をポイント解説
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まっぷるトラベルガイド編集部

更新日:2020年12月25日

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ルクセンブルク 〜 ヨーロッパの小国をポイント解説

フランス、ドイツ、ベルギーと国境を接するルクセンブルク。「聞いたことがない国…」と思われる方も多いかと思います。おとぎ話の舞台になりそうな国でありながら、多くの人にとって未知の国。地理的に重要な位置にあり、ヨーロッパでは、政治的にも、経済的にも、重要な役割を果たしています。そんなルクセンブルクの知られざる魅力をご紹介したいと思います。



どんな国?

正式な国名はルクセンブルク大公国。国土は神奈川県くらいの広さ、人口は50万人ほどの小さな国です。公用語は、フランス語、ドイツ語、ルクセンブルク語です。 7719920078_532d3767e1_z
by bortescristian, CC BY
緑の多い国としても知られています。ルクセンブルクは、ベルギー、オランダとともにベネルクス3国と呼ばれますが、この3国が「ベネルクス経済連合」を形成したのが、ヨーロッパ連合の起源となっています。小国ながらルクセンブルクに、ヨーロッパ連合の重要機関が置かれているのは偶然ではないわけです。
by Tilemahos Efthimiadis, CC BY-SA

世界遺産のルクセンブルク市

おとぎ話のイメージそのもの。首都ルクセンブルク市の旧市街と要塞は、世界遺産に指定されています。10世紀に断崖を利用した天然の要塞が誕生し、14~15世紀には市を囲む「ヴェンチェルの環状要塞」が建設されました。全長20キロにも渡る「地下道要塞」も建設され、ルクセンブルク市は、稀に見る強固な城塞都市となりました。けれども、ルクセンブルクの歴史は、侵略の歴史。スペイン、フランス、オーストリアなどの大国の支配も受けました。 12726240694_ae4d7588a1_z
by archer10 (Dennis) (62M Views), CC BY-SA
1815年に独立を果たし、1867年に永世中立国となってからは、要塞は、徐々に撤去されましたが、1948年には永世中立を破棄したため、以降、要塞はそのまま残されることになりました。おとぎ話のようで、ロマンチックでさえある要塞ですが、実は、ルクセンブルクの歴史が刻まれているのです。 12726336054_2eed4170d0_z
by archer10 (Dennis) (62M Views), CC BY-SA
旧市街には、宮殿(16世紀)、ノートルダム大聖堂(17世紀)、アルム広場、市庁舎などの見所があります。建築物には、建築時の支配国の様式が見られ、そこにもルクセンブルクの歴史を感じ取ることができます。 2541191790_c3779c554a_z
ノートルダム大聖堂, by James Cridland, CC BY
by archer10 (Dennis) (62M Views), CC BY-SA

要塞と古城の国

ルクセンブルク市だけでなく、ルクセンブルクには、たくさんの大小の古城と要塞跡があります。大きな古城としては、ヴィアンデン(Vianden)、ボフォー(Beaufort)、ブアシャイド(Bourscheid)、ブルグリンスター(Bourglinster)、クレアボー(Clervaux)があります。 2461500632_6a8af1a4e0_z
Beaufort Castle, by 4nitsirk, CC BY-SA
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Bourscheid castle, by keivi, CC BY-ND
これら以外にも無数ともいえる無名ながら風情のある古城がたくさんあります。例えば、ルクセンブルクの中央部にある「7つの城の谷」(Valley of Eisch)には、37キロの散策道があり、7つの古城を訪ねることができます(車でも可能です)。 451346691_58bed2d7fb_z
Bourglinster, by Jean & Nathalie, CC BY
本物の要塞の一つテュンゲン(Thüngen)を利用したミューゼー・ドライ・エーへレン(Musée Dräi Eechelen)は、要塞について、その歴史について詳しく学ぶことができる印象深い博物館です。 8685755225_dc56536df2_z
Thüngen, by Harshil.Shah, CC BY-ND
by 4nitsirk, CC BY-SA

金融の国

ルクセンブルクと言えば、ずばり「金融の国」「お金持ちの国」と言うイメージです。国民の経済レベルは世界のトップクラス。現在は、金融だけではなく、IT、メディアなどもヨーロッパをリードする主要な産業です。 農業国から、重工業国へ、さらに金融国へとうまく産業転換を行ってきたのが成功の秘密です。失業率も低く、北欧のような福祉国家ではないものの、貧富の差があまりないとされます。ヨーロッパ連合の重要な金融機関がいくつも置かれ、プライベートバンキングでは、スイスに匹敵する規模とされます。 そんなルクセンブルクならではの博物館が「バンク・ミュージアム・ルクセンブルク」です。140年の金融の歴史のみならず、「先を行く金融とはどういうものか」を知ることができるでしょう!
Bank Museum, by Francisco Anzola, CC BY

グルメの国

世界有数のグルメ国とされるルクセンブルク。ミシュランドガイドの星の数が、国民一人あたり世界一とも言われます。けれども、美味しいものが食べられるのは高級レストランだけではありません。地元の小さなレストランで、地元の料理を食べることこそが旅の楽しみですよね! 640px-Bouneschlupp16
そら豆のスープ, by SITCK, CC BY-SA
ルクセンブルクの代表的な料理としては、「そら豆のスープ(Bouneschlupp)」「ハムのペイストリー(Jambon en croute)」「ポテトパンケーキ(Gromperekichelcher)」「うさぎ料理(Jugged Hare)」等があります。
Gromperekichelcher, by ines s., CC BY-SA

チョコレートの国

お土産にも最適、旅行中にも必ず試したいのがルクセンブルクのチョコレート!有名なブランドとしては「オーバーワイス」(Oberweis)が挙げられますが、マーケットで売られている地元のチョコレートなどもとっても美味しいです。
Oberweis, Foursquare.com
また、宮殿近くにある「チョコレート・ハウス」は、チョコレート大好きな人にたまりません! お勧めは、いろんなフレーバーが楽しい「ホットチョコスプーン」と言われるホットチョコレート用のチョコレート。あたたかい牛乳に溶かし込むためにスプーン付きになっています。
Chocolate House Nathalie Bonn, Foursquare.com
Chocolate House Nathalie Bonn, Foursquare.com
Oberweis, Foursquare.com

白ワインの国

フルーティーな白ワイン(モーゼルワイン)がとても人気です。多くのローカルワインがありますが、あまり生産量が多くないため輸出量が少なく、そのため希少価値が増しているということです。 8809341740_9fc9847a4d_z
by lewismd13, CC BY-SA
ルクセンブルクを訪れたら、貴重なチャンスを逃す手はありません。様々な地元のワインを楽しみつつ、あるいは、ワイナリーツアーに参加して、お気に入りを見つけるというのはどうでしょう。とっても特別な旅のお土産になること間違いなしです。 6333641785_fbe00d6409_z
by wogo24220, CC BY-ND
by Anna & Michal, CC BY-SA

緑の国

ミューラータール地方(Müllerthal)は、「小さなスイス」と呼ばれる自然の美しい地域です。110kmに渡るトレイルは素晴らしく整備されており、散策(ハイキング)の途中には、美しい渓谷、湖、川、森、滝、珍しい岩、古城など、多くのサプライズが待っています。 2249778563_a2eac7f96c_z
Müllerthal, by jack_of_hearts_398, CC BY
この地域にあるエヒテルナッハ(Echternach)は、ドイツ国境近くのルクセンブルク最古の町で、中世の壁と塔に囲まれた美しい町です。町の歴史は、698年、エヒタナハ修道院の創設に始まりました。町にある2つのバジリカと庭は必見。 9017689548_c361c8f852_z
by Barbara Müller-Walter, CC BY-ND
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by bobba_dwj, CC BY-SA
また、マルクト広場、ロココパビリオン、ゴシックハウス、要塞の市庁舎などの中世からの建築物も見所です。エヒテルナッハの「踊りの行進」は、毎年5月に行われる15世紀からの伝統行事です。ユネスコの無形文化遺産にもなっています。 8940854654_469807ef26_z
Luxembourg – Echternach, by Harshil.Shah, CC BY-ND
Müllerthal, by Merle ja Joonas, CC BY-ND

自転車とエコツアーの国

ルクセンブルクの国民的スポーツと言えるのが自転車。これまでに、幾人ものツール・ド・フランスの優勝者を排出しています。ルクセンブルクには景観と自然が楽しめる600km以上のサイクリング道があるのも頷けます。難度の高いマウンテンバイクコースから、電気自転車もOKのコースまで様々です。 19860743402_5078c20309_z
by kewl, CC BY
近年、ルクセンブルクで人気が高いのがエコツアー。のどかな田園風景、ブドウ畑、古城跡、緑濃い森、湖や川、丘や山からのパノラマビューを楽しめる自転車の旅、ハイキングが人気です。 6863379254_421792a14a_z
Luxembourg vineyards, by kewl, CC BY
by kewl, CC BY

フランス、ドイツ、ベルギーと国境を接するため、これらの隣国から小旅行で訪れることも十分可能です。ヨーロッパのパワフルな小国ルクセンブルクを、是非、旅のリストに加えてみてください!


筆者:まっぷるトラベルガイド編集部

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