> ニースから足をのばして行く、芸術家ゆかりの小さな町

2015年3月4日

ニース

ニースから足をのばして行く、芸術家ゆかりの小さな町

by café gourmand

© LiliGraphie - Fotolia.com

ニースを中心とするコート・ダジュール地方は、コート・ダジュール(紺碧海岸)の名が示す通り、白い砂浜と蒼い海が広がり、リゾート地として多くの人を魅了しています。また、映画フェスティバルで有名なカンヌやモナコ公国と近い事もあり、富裕層の社交場としてのイメージも強いですね。しかし、この美しい地方を愛したのは、お金持ちばかりではありません。世界的に有名な芸術家もその例に漏れず、彼らは近隣の町にその足跡を残しています。今回は、そんな芸術家の愛した、ニース近郊の小さな町をご紹介します。

ルノワールの終焉の地、カーニュ・シュル・メール

優しい微笑みのふくよかな女性が特徴的な、印象派の巨匠ルノワール。フランス中南部のリモージュ生まれの彼が、リューマチを患い車椅子生活を余儀なくされた晩年を過ごすのに選んだ地が、カーニュ・シュル・メールです。

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by Jérémy Couture, CC BY
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by Jérémy Couture, CC BY

今でもこの町には、「レ・コレット」と呼ばれるルノワールの家が残っており、彼の晩年を偲びに来る人々に開放されています。中には当時のままに保存されたアトリエがあり、車椅子やパレットなどが陳列されています。この家にいて感じるのは、窓から差し込む柔らかい日差しです。その心地よさに身を預けると、まるで彼の作品を見た時のような幸福感に包まれます。

Musée Renoir, Foursquare.com
Musée Renoir, Foursquare.com
住所:
Cagnes-sur-Mer, France

ジャン・コクトーの愛した港町、ヴィルフランシュ・シュル・メール

詩人、作家、画家、映画監督等々、20世紀に芸術の分野でマルチな才能を発揮したジャン・コクトー。彼はパリ近郊の生まれですが、コート・ダジュール地方をこよなく愛し、ヴィルフランシュ・シュル・メールにも頻繁に訪れました。
この町は、ニースから約6キロメートルしか離れていないにも関わらず、電車を降りるとそこは無人駅という程の長閑さです。

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by Zemzina, CC BY
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by ajay_suresh, CC BY

ジャン・コクトーが装飾を手掛けた、サン・ピエール礼拝堂は、パステルカラーの町並にピッタリの外観で、内部の壁画には、港町にふさわしく元漁師であったペテロの生涯が描かれており、一般的な教会、礼拝堂とは一味違う、コクトーの幻想的な世界に浸る事が出来ます。彼の世界をもっと知りたい方は、更に足を伸ばしてジャン・コクトー美術館と彼が装飾をした結婚の間で有名な市庁舎のあるマントンも訪れてみましょう。

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by Spirit OfEcstasy, CC BY
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by Dragozov, CC BY
住所:
Villefranche-sur-Mer, France

マティスの代表作、ロザリオ礼拝堂の町、ヴォンス

大胆で鮮やかな色遣いが特徴的な画家、マティス。次第に線の単純化、色の純化を突き詰めるようになり、その手段として切り絵に到達します。彼もコート・ダジュールの出身ではありませんが、ニースに旅して以来この地の虜になります。

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by archer10 (Dennis) REPOSTING, CC BY-SA
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by archer10 (Dennis) REPOSTING, CC BY-SA
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by archer10 (Dennis) REPOSTING, CC BY-SA

敗戦後、焼け落ちた教会の修復依頼を受け、これを引き受けたマティスは自分の持てる全てをこの仕事に注ぎ込みます。青、緑、黄の3色だけで表現した切り絵のようなステンドグラス、白いタイル地に黒い輪郭線だけで描かれた聖母子像。彼の目指した線の単純化、色の純化の集大成がここに見られます。

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by m-louis, CC BY-SA
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by Monica Arellano-Ongpin, CC BY

モノクロの壁画は、ステンドグラスから差し込む日光を受けて優しく色づきます。宗教建築で感じる重厚さは一切なく、むしろ明るさ、爽やかさ、清々しさといったものを感じます。

住所:
Vence, France

ピカソと陶芸を結びつけた町、ヴァロリス

変化の激しい作風とその多作さで知られる芸術家、ピカソ。彼はスペイン人ではありますが、制作活動はフランスで行いました。ヴァロリスは古くから陶芸が盛んな町でしたが、一時は存亡が危ぶまれる程衰退します。しかし戦争の後、この地を訪れたピカソと地元の陶芸家の出会いがこの町の運命を変えます。

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by m-louis, CC BY-SA

ピカソがこの地の窯で制作した陶器の展覧会が大当たりし、観光客が押し寄せるようになったのです。67歳から74歳までをこの地で過ごしたピカソは、彼の70歳のお祝いをした町に対して、「戦争と平和」を制作します。この作品はヴァロリスの国立ピカソ美術館にて鑑賞できます。

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by m-louis, CC BY-SA
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by m-louis, CC BY-SA
住所:
Vallauris, France

ピカソとペイネの作品に出会える町、アンティーブ

前項でもピカソ美術館をご紹介しましたが、ピカソ美術館という名の美術館はいくつか存在します。そしてコート・ダジュールでもう一つのピカソ美術館に出会えるのがアンティーブです。こちらの美術館は、元々はこの土地の有力者の城砦であったグリマルディ城をピカソが一時アトリエとして使用した事がきっかけで実現しました。ピカソの絵画だけでなく、彫刻、陶器等も収蔵されています。

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by Dhinal Chheda, CC BY
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by acebal, CC BY

アンティーブでもう一つ忘れてならないのがペイネ美術館です。ペイネは愛らしい恋人たちの絵で世界中に知られたイラストレーターです。彼の描くメルヘンチックな世界は日本でも御馴染です。この美術館では、恋人たちの微笑ましい光景を切り取った作品に癒されます。

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by m-louis, CC BY-SA
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by Daniel70mi, CC BY
住所:
Antibes, France

筆者 : café gourmand

初めてのヨーロッパ旅行でフランスの魅力にはまる。その後フランス語を勉強し始め、留学を経て、1〜2年に一度のペースでフランスへ。有名観光地も好きだけれども、地方の小さな町、村を散策するのがお気に入り。現在はフランス地方都市在住。