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2017年8月12日

タイ

タイの建築 寺院や宮殿を見るときはここに注目!様式別見どころまとめ

by Fish & Tips

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東洋と西洋、宗教建築など多彩な様式が融合したタイの伝統建築。高温多湿な南国の気候に合わせた工夫が随所に施されている。

寺院建築 The Structure of Temples

ワットと呼ばれるタイの仏教寺院。境内の建物や装飾物にはさまざまな文化や時代の宗教が反映されており、タイの歩んできた歴史が垣間見られる空間だ。

多様な宗教建築が集まる境内

タイの寺院は本尊を祀るボット(本堂)の周囲に、さまざまな様式の建造物が建てられている。クメール建築から西洋建築まで文化、宗教、そして時代が混在しながらも調和がとれているのが特徴だ。境内にはウィハーン(仏堂)やチェディ(仏塔)、ホー・トライ(経蔵)などが建ち、回廊によって聖域と俗界が区別されている。また境内は宗教儀礼が行なわれ、参拝客が入れるプッダーワートと、僧侶の修行と生活の場になっているサンカーワートに分かれている。タイ中部では、ヒンドゥ教の影響が強いクメール様式から絢爛豪華な装飾が施されたラッタナーコーシン様式まで、さまざまな時代に建築された寺院を見ることができる。華やかな装飾の意匠にもそれぞれ意味があり、鳥の形の棟飾りであるチョーファーは守護神ガルーダを、屋根の稜線はブッダを守護する蛇神ナーガを象徴している。

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寝釈迦仏で有名なワット・ポー。再三の改修を経て19世紀前半に現在の姿に近いものとなった

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ボット (Bot)
大切な本尊が安置され、重要な宗教儀式が行なわれる本堂。細工が施された8個の聖石によって俗界との境界が定められている。

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ワット・スタットのボットには幅6.25mの仏像が納められている。

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サーラー (Sala)
寺院を訪れた人々の休憩所や礼拝所、寺子屋授業などに使う集会所。ワット・イントラウィハーンのサーラーのように、壁のない東屋造りになっていることが多い。

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ホー・トライ (Ho Trai)
重要な経典を納める経蔵。虫や悪天候から経典を守るため、高い土台の上や池の中に建造されている。ワット・プラケーオでは大理石製の台座上のプラ・モンドップに、金の法典が納められている。

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ウィハーン (Wihan)
本尊以外の仏像を安置する仏堂で、複数のウィハーンを持つ寺院もある。聖石がないこと以外はボットと外見は類似。ワット・プラケーオのウィハーンには蛇神ナーガが祀られている。

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チェディ (Chedi)
釈迦の遺骨や遺物、重要な人物の遺骨が納められている仏塔。段差のある構造は仏教思想を体現化している。ワット・ボウォーンニウェートのチェディはスリランカ起源の釣鐘型をしている。

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ホー・ラカン (Ho Rakan)
僧侶たちの生活を律する小さな鐘がある鐘楼。多くの寺院にたいてい1基建っている。ワット・ベンチャマボピットのホー・ラカンは、本堂と同様に大理石が使用されている。

クメール様式

6世紀からタイ北部に存在したクメール族は、ヒンドゥ教の宇宙観に従いアンコール・ワットを代表する建造物を生み出した。プラーン型と呼ばれる縦のラインを強調した独創的な仏塔は、大きく基段部、聖骨室部、頭部、頂部装飾に分かれている。さらに細分化すると33段となり、ヒンドゥ教の聖地メール山の宇宙観が持つ33のレベルに符合する。

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レンガで造られたクメール様式のプラーン型仏塔はアユタヤーでよく見られる

スコータイ様式

13世紀末〜15世紀、クメール族が去ったのちにスコータイ様式が発生した。クメール様式を踏襲しながらも、スリランカの影響を受けているのが特徴。建築物に化粧漆喰を使った装飾を施すなど、タイで初めての芸術的表現が生み出された。ピラミッド状の土台の上に蓮の蕾のような尖塔が高くそびえ立つ仏塔は、スコータイ様式特有のものだ。

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スコータイのワット・シー・チュムにある15mの坐仏

ランナー様式

18〜20世紀の北部ランナー派による宗教建築は、ビルマのモン王国やインド、スリランカの建築様式の影響を強く受けている。木材の多用はラーオ族にならったもの。19世紀末には、スコータイ派の影響を受け、化粧漆喰の装飾が施された。木で造られた格天井や、立方形のドームを持つ仏塔が特徴的だ。

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木造の正面玄関を持つチェンマイのワット・プラシン

アユタヤー様式

14〜18世紀に王朝として栄えたアユタヤーには、さまざまな建築様式を採り入れた建築物が建てられた。縦を強調したクメール様式のほか、3基の釣鐘型のチェディ(仏塔)を有する水平なラインが特徴のスリランカ様式を用いている。時代を経て修復され、複数の様式が混在しているものも多い。

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ワット・プラ・シー・サンペート
アユタヤー王朝の王室守護寺院。王の遺骨が眠るスリランカ様式のチェディ

ラッタナーコーシン様式

18〜20世紀世紀、王宮建築に他のアジア諸国や西洋の建築様式が強く反映されるようになり、その影響は寺院建築にも及んだ。アユタヤー時代の旧都の寺院を模しながらも、色彩や装飾はさらに華やかさを増している。西洋風のガラス窓やイタリアの大理石の使用、中国風のカラフルな陶片や彫刻などによる色彩豊かな装飾が特徴だ。

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ワット・ベンチャマボピット
1899年にラーマ5世によって建造されたワット・ベンチャマボピット。イタリアの大理石がふんだんに使われ、ステンドグラスも施されたタイと西洋の折衷建築

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宮殿建築 Palace Architecture

西洋列強がアジアに迫っていた19世紀、ラーマ5世の命で東西折衷様式の宮殿建築が造られた。壮麗な宮殿は今も当時の輝きをとどめている。

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チャクリー・マハー・プラサート宮殿
ラーマ5世の命で1882年に完成した白亜の宮殿。イタリア人建築技師が起用された。3階建ての大理石を用いたヴィクトリア様式の建物に、タイ様式の尖塔と重層の屋根をのせた折衷様式の代表格。建物は中央と左右の両翼に分けられている

西洋建築とタイ伝統建築の融合

周辺諸国が欧米の植民地になっていた19世紀中頃、欧米外遊を経験した当時の王ラーマ5世は、西洋人の建築家を迎え入れて多くの西洋風宮殿建築を造った。西洋建築とタイ伝統建築との折衷デザインが大きな特徴で、西洋風の躯体にタイの伝統的な入母屋造りの屋根を組み合わせるなど、異なる文化の様式を見事に調和させている。

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ウィマンメーク宮殿
1902年建造のラーマ5世の別荘で、世界にも類を見ない総チーク造りの巨大な3層建築。建物本体には釘を一切使用していない。当時の調度品や食器類が展示されている

多文化を感じさせる壮麗な装飾

宮殿建築の建材にはチーク材やイタリア製の大理石などが贅沢に使用された。建物の細部にはルネサンス様式など、西洋風の細かな装飾が施され、タイの伝統様式を採り入れた尖塔が配さるようになった。単なる東西の折衷様式にとどまらず、仏教やヒンドゥ教の要素の混在が見られるなど、さまざまな文化、宗教、そして時代の要素で構成された複雑な建築様式が特徴だ。

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アナンタ・サマーコム宮殿
ラーマ5世の時代に着工し、6世の治世1915年に完成した、ローマの大聖堂をモデルにしたドームを持つ宮殿。繊細な彫刻を施したイタリア産の大理石で造られている

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住宅建築 Residential Architecture

高温多湿な気候下でも快適に暮らせるよう、建材や建築様式に工夫が凝らされたタイの住宅建築。耐久性のある古い住宅建築が今も街なかに残っている。

気候に即した高床式住宅建築

タイの伝統的な高床式住宅は、高温多湿の気候のなかで快適に生活できるように工夫されている。約2m〜2.5mの高床は、床下の涼しい風を屋内に取り入れ、蛇などの侵入を防ぐ。川や運河に面した家は、高床によって洪水から居室内を守ることができる。柱や壁、屋根につけられた傾斜は構造に強度を与えている。柱などの建材には木材が使われ、屋根は瓦やシュロが葺かれている。

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スアン・パッカード宮殿
ラーマ5世の孫の旧居内の庭園に、伝統的な高床式木造建築が並ぶ。アユタヤーから移築した築約450年のラッカー・パビリオンは当時の宮殿別館で、寺院風の屋根が特徴

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クンペーン・レジデンス
アユタヤーの公園内に移築され、アユタヤー様式で1894年に建てられたタイの伝統家屋。

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チーク材を使用した高床式住居で、中に入ってその涼しさを体験することができる

華人が広めたショップハウス

ショップハウスとは19世紀中頃〜20世紀中頃にかけて、東南アジア各地で商業を営む華僑が持ち込んだ住居兼店舗の建築様式。西洋と東洋の建築文化が融合したもので、統一性のある市街地を形成している。1階が商店、2〜3階が住居になっており、間口は3〜5m程度と狭く、奥行は20mほどの細長い長方形で中庭へと延びている。壁は隣家と共有なので窓がないが、通気性の良い扉と中庭の存在により風通しが良くなっている。建材には石造りの壁が使用され、木製の床から木材そのままの梁が延びて天井を支えている。軒先にはヨーロッパの新古典主義の影響を受けた装飾が施されていたが、1970年以降、雑然とした看板の設置や改装により、趣を失ってしまった建物も多い。

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プレーン・プートン通り
ラーマ5世の時代に計画的に建築された、古い木造のショップハウスが並ぶエリア

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チャルン・クルン通り
チャオプラヤー川に沿って延びる、タイで初めて舗装された道路。ラーマ4世の時代にヨーロッパの技術を用いて造られた。ショップハウスやヨーロッパ風の建築物が並ぶ

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トラベルデイズ バンコク

  • 発売日:2012年12月10日

筆者 : Fish & Tips

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奥付:
この記事の出展元は「トラベルデイズ バンコク」です。掲載している情報は、2016年3〜8月にかけての取材・調査によるものです。掲載している情報、商品、料理、宿泊料金などに関しては、取材および調査時のもので、実際に旅行される際には変更されている場合があります。最新の情報は、現地の観光案内所などでご確認ください。