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まっぷるマガジン編集部

更新日:2020年4月13日

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タイ寺院No.1の豪華さ ワット・プラケーオ&王宮のみどころ

バンコクの歴史と文化を物語る3大寺院は、ダイナミックな建築と洗練された装飾美が訪れる者を魅了する。きらびやかな金の仏像が鎮座し、穏やかな表情で迎えてくれる。

ワット・プラケーオ&王宮 (Wat Phrakaeo & Grand Palace)

悠久の美を残す格式高い建築群

神秘的なエメラルド仏に心洗われ伝統建築の華麗なる宮殿に感嘆。

ワット・プラケーオはタイで最も格式ある王室寺院であり、本堂のほか歴代国王が眠る仏舎利塔などが建ち並ぶ。ラーマ1世が1782年のバンコク遷都の際に建造を始め、1784年に完成。本堂には翡翠でできたエメラルド色の本尊が祀られているため、「エメラルド寺院」とも呼ばれる。高さ66㎝、幅48.3㎝の本尊は年に3回、国王みずからが金の衣を取り替える儀式を行なうなど、あつい信仰を集めている。 同じ敷地内に王宮があり、王やその家族が暮らした4つの宮殿など、エキゾチックなタイ伝統の建築様式に西洋様式を取り入れた美しい建物群が見られる。現国王のラーマ10世はドゥシット地区のチットラダー宮殿に暮らしているが、今も王室の行事や式典などでこの王宮の多くの建物が使われている。

The famous royal emerald temple from Bangkok
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寺院参拝時の注意点

ワット・プラケーオと王宮を見学する際には、服装に注意が必要。ノースリーブや半ズボン、ミニスカート、スパッツなどの肌を露出する服装や体のラインが出る服装は禁物。ウィセートチャイシー門から入場するとチェックがあり、規準を満たしていない場合は門の左側にある服装検査室でズボンや上着などを借りる(パスポート、デポジットなどが必要)。

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ワット・プラケーオ

現地名:
Wat Phrakaeo
住所:
1 Sanam Chai Rd.
地図を見る »
アクセス:
BTS CEN サイアム駅から車で15分/カオサン通りから徒歩15分/ター・チャン桟橋から徒歩5分
TEL:
02-222-0094
営業時間:
8:00~16:00(チケット販売は~15:30)
定休日:
無休 王室関連の行事があるときは本殿および王宮には入れないが、境内には入場可

ワット・プラケーオ&王宮を徹底解説

時を超えて信仰される金色の建築を訪ねて

24万4000㎡にものぼる敷地内には、現在も王室行事の際に実際に使用されている施設も多い。豪華絢爛な建物はもちろん、独特の色使いのタイルやユニークな形の像など、見どころがいっぱい。服装検査を受け、チケットを購入したら、日本語の解説書をもらって中へ入ろう。炎天下を長時間歩きまわることになるため、水分補給はしっかりとすること。

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秘薬を調合する仙人像が入口でお出迎え

①ホー・プラ・モンティエン・タム (Ho Phra Monthien Tham)

経典などが納められている王家専用図書館。白く伸びる柱や切妻屋根が美しい。正面の装飾がバンコクで最も美しいと呼び声が高い。内部非公開。

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↑西側正面に見られる鮮やかな装飾にも注目したい

②プラサート・プラ・テープビドーン (Prasat Phra Dhepbidorn)

エメラルド仏を安置するため建設されたが、手狭だったことから国王像を納めた。ラーマ1〜8世の等身大の国王像を安置。内部非公開。

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↑クメール様式の尖塔の先端にはシヴァ神の象徴が飾られている

③アンコール・ワットの模型 (Model of Angkor Wat)

石のテラス上にあるアンコール・ワットの縮小模型。当時シャム(タイ)の支配下にあったクメール王国を訪れたラーマ4世が、その美しさに感銘を受け造らせた。

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↑ ラーマ5世の時代に完成。本物と見紛うほどの精巧さ

④ウィハーン・ヨート (Wiharn Yod)

ヒンドゥ教の神話にも登場する蛇神ナーク(ナーガ)を祀る。尖塔や破風にあしらったタイル装飾が美しい。内部非公開。

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↑建物上部の装飾は緻密で配色が印象的

⑤プラ・モンドップ (Phra Mondop)

金の法典・三蔵経(トリピカタ)を納めた経堂。純粋なタイ様式の尖塔の下部には、細密な装飾が見られる。内部は非公開。

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↑テラス上に並ぶ3つの塔の真ん中。緑がかった色みが美しい

⑥プラ・スワンナ・チェディ (Phra Suwanna Chedi)

黄金の2基の仏塔は、ラーマ1世が両親のために建立したもの。現在のものは4世時代の再建とされる。きらびやかで繊細な彫刻が見事だ。

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↑塔の台座を支える魔除けの鬼・ヤックと、猿神・モックにも注目

⑦回廊 (Galleries)

インドの叙事詩『ラーマーヤナ』のタイ版『ラーマキエン』の178シーンが描かれている。細密でダイナミックな壁画が回廊を彩色豊かに飾る。

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↑ ハヌマーンが描かれた有名な絵

⑧8つの仏塔 (Eight Prangs)

同じ形をした色違いの仏塔は、白=仏陀、紺=仏教、ピンク=僧侶、緑=尼僧、紫=釈迦、青=国王、赤=観音菩薩、黄色=弥勒菩薩を表す。

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↑装飾が美しい仏塔がずらりと並ぶ姿は壮観

⑨プラ・シー・ラッタナー・チェディ (Phra Sri Ratana Chedi)

古都アユタヤーのワット・プラ・シー・サンペートを模した仏塔。仏舎利が納められている。外壁の黄金のモザイクはラーマ5世時代のもの。

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↑ ワット・プラケーオのなかでもひときわ目をひく黄金の仏塔

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↑ タイルのように張りめぐらされた金

⑩鐘楼 (Belfry)

本堂の南側に建つ。ラーマ1世の時代に、バンコクの別の寺院から運ばれてきた青銅製の鐘が据えられた。今ではほとんど鳴らされることはなくなった。

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↑王宮全体に音が鳴り響くよう、鐘は非常に高い位置に吊り下げられている

⑪ウボーソット(本堂)Ubosot (Main Hall)

ワット・プラケーオで最も大きな建物。翡翠で造られた本尊(エメラルド仏)を安置する。本堂内部には仏陀の生涯や仏教の宇宙観を表す壁画が見られ、外壁は金箔やモザイクで飾られている。

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↑壮麗かつ堂々としたたたずまいに目を奪われる

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ここに注目!

本尊のエメラルド仏は高さ66㎝、幅48.3㎝。3・7・11月の年3回、国王の手によって仏像は衣替えされる。本堂内部は撮影禁止。

⑫ ウィハーン・ガンダーラ (Wiharn Gandhara)

ヘレニズム文化とインドの伝統美術が融合した、ガンダーラ様式の仏像を安置。雨乞いの儀式用に作られた仏像で、右手で雨を呼ぶしぐさをしている。

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↑壁のモザイクタイルが、ほかの建物とは異なるモダンな印象を与える

寺院で見つけた不思議キャラ

キンリー

ヒンドゥ教神話の聖鳥キンナラの女性

キンナラ

半人半鳥の聖鳥キンナラは歌舞が得意な天界の楽士

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モック

仏塔の装飾に使われる猿神。インドで信仰されるハヌマーンの別名

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ナーク

ヒンドゥ教神話にも登場。大河の象徴として蛇の姿で描かれる

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ヤック

『ラーマキエン』に登場する魔王の配下の鬼。魔除けとして使用される

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ガルーダ

インド神話に登場するヴィシュヌ神の乗り物として描かれる神鳥

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壮麗なる王宮群へ

ワット・プラケーオの見学を終えたら、南側にある王宮も見学しよう。チャクリー王朝の歴代王が住んでいた宮殿群は現在も式典などで使用されている。

チャクリー・マハー・プラサート宮殿 (Chakri Maha Prasat Hall)

見事なまでのタイと西洋の折衷建築

1882年に完成。屋根部分はタイ様式が取り入れられ、大理石の西洋建築とタイの伝統スタイルが見事に融合して独特の建築美を見せる。現在も公式行事などの際に利用されている。

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アマリン・ウィニチャイ堂 (Amarin Winitchai Hall)

金色の船形玉座がある

ラーマ1世が建造したタイ様式の宮殿で、現在も国王の誕生日などに式典が行なわれる。9層の天蓋の下に船形の玉座があり、ガルーダ像などの装飾が見られる。内部の撮影は不可。

ドゥシット・マハー・プラサート宮殿 (Dusit Maha Prasat Hall)

戴冠式にも使用される華麗な建物

バンコク遷都の際に建造。1789年に焼失したが、再建された。十字の建物の上に立つ7層の尖塔が、タイの代表的な伝統建築様式を見せる。内部にはガルーダの紋章が付いた玉座がある。

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ワット・プラケーオ博物館 (Wat Phrakaeo Museum)

まだある王宮の見どころ

王宮とワット・プラケーオのミニチュア模型がある。王宮の大改修時にはずされた装飾品を多数展示している。

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タイ王室の歴史

在位1782~1809年 ラーマ1世
チャクリー王朝創始者。バンコクに都を定め「クルンテープ・マハーナコーン」という長い名前で言祝(ことほ)ぎ、王宮とワット・プラケーオを築いた。防備を固め王国を堅固なものにし、仏教を手厚く保護した。

在位1851~1868年 ラーマ4世(モンクット王)
王位に就く前は出家して仏教教義を探求していたが、王位に就くと外国と通商条約を締結し市場の開放を行なうなど政治手腕を発揮し、シャム王国の経済を立て直した。また、西洋文化を積極的に取り入れた。

在位1868~1910年 ラーマ5世(チュラロンコーン大王)
西洋文化にも精通する博識者で、大胆な政治改革を行ないシャムを近代国家に導いた。タイ国民が最も尊敬する英雄のひとりで、大王の敬称がつけられている。

在位1925~1935年 ラーマ7世(プラチャーティポック王)
1932年に立憲革命が起き、絶対王政から立憲君主制に移行。立憲君主制の必要性を感じていたラーマ7世はみずから新憲法を公布し絶対王政に区切りをつけた。

在位1935~1946年 ラーマ8世(アーナンダ王)
ラーマ7世の後を継ぎ10歳で王位に就くが、スイスで学業を続け、1946年にタイに帰国した直後にボロマビアン宮殿内で謎の死を遂げた。

在位1946~2016年 ラーマ9世(プーミポン王)
兄の死を受けて即位。優れた人間性と知性で存在感を示し、国民から深く敬愛された。

在位2016~ ラーマ10世(ワチラーロンコーン王)
ラーマ9世の崩御を受け、約2か月の期間を置いて即位。国家に奉仕し、ラーマ9世の教えを受け継ぐ存在として注目されてい

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奥付:
この記事の出展元は「まっぷるタイ・バンコク’18」です。掲載されている営業時間や表記などのデータは、2017年2〜3月の取材・調査に基づくものです。諸事情により、料金・価格など、掲載情報が変更になる場合もありますので、ご利用の際には事前にご確認ください。
その他:
●料金、価格の単位は「B(バーツ)」で表示しています。2017年4月現在、1B(バーツ)=約3円です。 ●休業日は、祝祭日や年末年始、臨時休業を除いた定休日のみを表示しています。 ●原則、地名や掲載施設名などはアルファベットで表示しています。地名などのカナ表記については、日本語では表現しきれない微妙な発音もありますので、編集部の判断で統一しています。ブランド名、ホテル名など日本で通用しているものは、その表記に従っています。 ●クレジットカードの利用には、手数料がかかる場合があります。 ※前国王ラーマ9世の崩御を受け、2017年10月まで喪服期間となります。期間中は見学できない施設もあります。

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。