Milan Cathedral (Milan Duomo) when sunrise, Milan (Milano), Italy by fotolia - ©Noppasinw

まっぷるマガジン編集部

更新日:2020年4月13日

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ミラノを象徴するゴシックの大聖堂 ドゥオモ周辺

ミラノの街歩きは巨大なゴシック様式のドゥオモからスタート。19世紀末の洗練されたガッレリアを抜けて、イタリア最高峰の劇場スカラ座、ポルディ・ペッツォーリ美術館へ行く。



街歩きコース(移動時間 約15分)

START 1・3号線 ドゥオモ駅

↓ 3分

ドゥオモ

↓ 2分

ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア

↓ 3分

スカラ座

↓ 3分

ポルディ・ペッツォーリ美術館

↓ 3分

GOAL 3号線 モンテナポレオーネ駅

エレガントなミラノを象徴する大聖堂へ

ミラノの街はドゥオモを中心として同心円状を描き、道もまたドゥオモ広場から放射状に延びている。ミラノの街歩きは、この街の地理的・精神的な中心であるドゥオモから始めたい。

奥行158m、尖塔最頂上の聖母像(マドンニーナ)までの高さ109m、内部の天井高ですら45mもあり、イタリアでこれより大きい建物はヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂しかない。しかし、大きさもさることながら、このドゥオモの前に立つ誰もが認めるのが、無数の尖塔と彫刻が織りなす華麗な美しさだ。ミラノ人が自慢するのも当然という気がしてくる。

ドゥオモを正面にして左へ、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガッレリアへ向かう。イタリア統一王国後の都市再開発の象徴として建設された鉄とガラスのアーケードは、床のモザイクや中央上面のフレスコ画、細部に描かれたグロテスク模様にいたるまで、当時の卓抜なセンスと技術力を感じさせて圧巻。

アーケードには、カフェやブランドショップ、本屋などが並び、行き来する人々でいつも賑わっている。カフェは少々高級だが、ミラノならではの雰囲気を漂わせ、眺めているだけでも楽しい通りだ。

ドゥオモ Duomo

400年以上の歳月をかけて完成した壮麗なゴシック建築の大聖堂
街の中心にそびえるミラノのシンボル。ゴシック様式の聖堂としては、イタリア最大の規模を誇る。建築の立案と着工は1386年。当時のミラノ領主、ジャン・ガレアッツォ・ヴィスコンティが「ローマのサン・ピエトロのような大聖堂をミラノにも」と命じ、建造が始まった。設計と工事には、ペッレグリーニ、カルロ・ブッツィ、ジュゼッペ・ビーニ、ベルティーニなど、14〜19世紀にロンバルディア州で活躍した第一級の建築家と芸術家が参画した。ナポレオンがミラノを支配した19世紀初頭には、ファサードの建造をナポレオンみずからが指揮した記録が残る。その後、1887年に大聖堂全体の建築と装飾が終了。着工から500年もの時を経て、世界屈指のゴシック建築が完成をみた。

無数の尖塔と彫刻で装飾を施したヨーロッパでも類を見ない威容
ドゥオモの建築素材には、ピエモンテ州のカンドリア産の白大理石が使われている。色大理石を用いない代わりに、彫刻に徹底してこだわり、モノトーンの建物に繊細なレースのような細工と光と影の陰影を持たせたのが特徴だ。設置された彫像の数は、外部と内部を合わせて2245体、尖塔は135本にものぼる。構造はラテン十字形プラン。奥行158m、幅93m、尖塔までの高さ109m、面積1万1700㎡と、大きさにおいても圧倒的なスケールだ。ファサードにはブロンズ製の扉が5枚配されており、ミラノの歴史などの彫刻が施されている。五廊式の構造をとる内部では、ペッレグリーニ設計による内陣、後陣や身廊のステンドグラス、トリブルツィオ家の燭台などが見どころだ。身廊の上部にあたる屋上テラスからはミラノ市街を一望できるほか、晴れた日にはイタリア・アルプスも眺めることができる。

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数多くの彫像と尖塔を持つ、白大理石造りの大聖堂。ヴィスコンティ家のジャン・ガレアッツォが、天をめざして造りあげた。

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1386年着工、ファサード完成が1813年、400年以上の年月をかけた大聖堂。

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マドンニーナの像
中央の尖塔上には、ミラネーゼの愛郷心のシンボルといわれる黄金のマリア像「マドンニーナ」が輝く。夜はライトアップされ、ミラノの夜景を彩る。

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尖塔群
135本の尖塔の上部には、聖人たちの彫像が配される。屋上テラスに上る際に階段を使うと、各像を近くから鑑賞できる。

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屋上テラス
階段かエレベーターで上れる。大聖堂の圧倒的なスケールを上部から感じることができ、ミラノの街並と郊外の眺めも満喫できる。

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大扉
正面中央のブロンズ製の扉には、聖母マリアの生涯がドラマチックに刻まれている。ルドヴィコ・ポリアーギの作。

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中央大窓
後陣には『新約聖書』と『旧約聖書』の物語を描いたステンドグラスがある。その中央上部の大窓は、正義を表す太陽とヴィスコンティ家の家紋に彩られる。

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ティブリオ
主祭壇の上部にあるティブリオ(円蓋)は、装飾を施した4本の柱に支えられる。16世紀後半に建築家ペッレグリーニが手がけたものだ。

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パイプオルガン
主祭壇横には聖歌隊席があり、上部にパイプオルガンがある。手前2台は16世紀のもので、後方2台は20世紀のもの。

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司教座
内陣のミラノ司教の椅子。ドゥオモがミラノ教区における母教会であることを示す。

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聖堂内陣
内陣の主祭壇は、ドゥオモの前身であるサンタ・マリア・マッジョーレ教会の祭壇をそのまま用いている。教区の重要な儀式が執り行なわれる。

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聖バルトロマイ像
16世紀に彫刻家マルコ・ダクラーテが完成。皮膚をはがされて殉教した聖人像で、肩に自分の皮膚をかけている。

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地下洗礼堂・宝物庫
中央祭壇脇の階段を下りた地下には、洗礼堂と宝物庫がある。礼拝堂の霊廟には、16世紀に殉教した大司教カルロ・ボロメオを祀っている。

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トリブルツィオ家の燭台
繊細な細工のブロンズ製ろうそく立て。13世紀フランスの作風。16世紀にドゥオモ司祭長だったトリブルツィオ家から寄贈された。

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ステンドグラス
聖堂内には、聖書の物語を題材に描かれたステンドグラスが多く、その周囲を光と色彩で満たす。14世紀に制作が始まり、全体の完成は19世紀。

ドゥオモ(ミラノ)

現地名:
Duomo
住所:
Piazza del Duomo
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アクセス:
メトロ1・3号線ドゥオモ駅から徒歩3分
TEL:
02-72023375
営業時間:
9:00~18:00(閉館は19:00)
定休日:
無休 
Webサイト:
http://www.duomomilano.it

天井や床の華やかな装飾にも注目 ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア Galleria Vittorio Emanuele Ⅱ

ドゥオモ広場とスカラ広場を結ぶ十字形のアーケード。イタリアの初代国王ヴィットリオ・エマヌエーレ2世の治世を記念して1865年に建築に着手。設計と工事監督は、建築家ジュゼッペ・メンゴーニが担当した。完成は1867年。長径196m、短径105mの規模を持ち、屋根は繊細な鉄枠を用いたガラス天井、床はモザイク画で彩られている。中央十字路の4つのモザイク画はイタリアの4都市の紋章で、各々、トリノの雄牛、ローマの狼、フィレンツェのユリ、ミラノの赤十字を表す。その上のクーポラ近くの4つの半円形壁面には、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、アフリカの4大陸の絵が描かれている。

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鉄とガラスを使った、19世紀末の最先端建築

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老舗カフェ、書店やCDショップ、ブランド店などが並ぶ

ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア

現地名:
Galleria Vittorio Emanuele Ⅱ
住所:
Galleria Vittorio
地図を見る »
アクセス:
メトロ1・3号線ドゥオモ駅から徒歩1分

雄牛のモザイク画 Mosaico del toro

ガッレリアのプラダ本店前近くに、トリノの紋章を表した雄牛のモザイク画がある。その局部にかかとをのせて1回転すると、幸運が舞い込むという言い伝えがあり、ここで回転する人が絶えない。

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モザイク画の雄牛の局部周辺がすり減っている

雄牛のモザイク画

現地名:
Mosaico del toro

ヴィットリオ・エマヌエーレ2世の騎馬像 Monumento a Vittorio Emanuele II

ドゥオモ広場の西側には、イタリアの初代国王ヴィットリオ・エマヌエーレ2世の騎馬像が立つ。19世紀末にエルコーレ・ローザが完成。

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ヴィットリオ・エマヌエーレ2世の騎馬像

現地名:
Monumento a Vittorio Emanuele II

大劇場スカラ座と瀟洒な邸宅美術館

オペラとバレエの殿堂、スカラ座。正面はこぢんまりとした印象だが、少し横にまわるとその大きさとモダンさに驚く。2004年末に完了した大規模な修復によって後部を拡張。年間約300回もの公演を行ない、人気演目の初日チケットは入手困難だという。
スカラ座をあとにし、アレッサンドロ・マンゾーニ通りを行くと右手にポルディ・ペッツォーリ美術館の入口が見えてくる。緑に囲まれた19世紀の貴族の邸宅を利用した美術館は喧騒とは無縁で、静かなひとときが過ごせる。

夢の音色と華麗な舞台に酔う スカラ座 Teatro alla Scala

建築家ピエルマリーニの設計により、1778年に開場。外観は新古典主義様式の簡素な趣だが、劇場内部は豪華なシャンデリアが輝き、深紅のビロードや金箔の装飾がきらめく。イタリアオペラの父、ヴェルディの代表作の多くがここで初演された。音楽家の遺品や楽譜などを展示する付属博物館もある。

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スカラ広場の前に建つ、世界有数の歌劇場

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火災で焼失した劇場の跡に建設、1778年にオープン。オペラの劇場として世界的に有名。

スカラ座

現地名:
Teatro alla Scala
住所:
Via Filodrammatici 2、ドゥオモ駅構内にもチケットセンターあり
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アクセス:
メトロ1・3号線ドゥオモ駅から徒歩6分
TEL:
02-72003744
営業時間:
公演により異なる、博物館9:00~17:00
定休日:
公演により異なる 
Webサイト:
http://www.teatroallascala.org

ポルディ・ペッツォーリ美術館 Museo Poldi Pezzoli

絵画や金細工、陶器、家具、時計など19世紀貴族の個人コレクションが展示されている。

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ポルディ・ペッツォーリ美術館

現地名:
Museo Poldi Pezzoli
住所:
Via Alessandro Manzoni 12
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アクセス:
メトロ3号線モンテナポレオーネ駅から徒歩3分
TEL:
02-796334
営業時間:
10:00~17:30(閉館は18:00)
定休日:
火曜、祝日不定休 
Webサイト:
http://www.museopoldipezzoli.it

千年の時とともに歩んだ領主の住居 王宮 Palazzo Reale

11〜20世紀前半まで、ミラノを統治した領主たちの住居となった館。11世紀に建物の基礎が築かれ、14世紀にヴィスコンティ家が増築し、15世紀にスフォルツァ家が改築を行なった。18世紀のオーストリア統治下には、建築家ピエルマリーニが新古典主義様式による大改築を施し、フェルディナンド1世らが移り住んだ。その後、1920年に当時のイタリア国王ヴィットリオ・エマヌエーレ3世がミラノ市に館を譲渡。現在は博物館として、一部が一般公開されている。

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歴史上つねにミラノの政治の中心だった

王宮

現地名:
Palazzo Reale
住所:
P.za Duomo 14
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アクセス:
メトロ1・3号線 Duomo ドゥオモ駅から徒歩2分
TEL:
02-88445146
営業時間:
9:30(月曜14:30)~19:30(木・土曜は~22:30)※展示により変動あり
定休日:
無休 

イタリアの大文豪が暮らした館 マンゾーニの家 Casa del Manzoni

歴史大作『いいなづけ』で知られるイタリア文学の父、アレッサンドロ・マンゾーニの家。1814年から亡くなる年の1873年までここで暮らし、数々の名作を世に送り出した。現在はマンゾーニ研究センターと記念館になっており、文豪の足跡をたどれる。

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赤レンガの建物。内部は当時のままに保存されている

マンゾーニの家

現地名:
Casa del Manzoni
住所:
Via Morone 1
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アクセス:
メトロ3号線 Montenapoleone モンテナポレオーネ駅から徒歩3分
TEL:
02-86460403
営業時間:
9:00~16:00
定休日:
土~月曜、祝日 
Webサイト:
http://www.casadelmanzoni.it

遠近法を駆使した空間設計に驚く サンタ・マリア・プレッソ・サン・サーティロ教会 Chiesa di Santa Maria presso San Satiro

9世紀に聖サーティロを祀るために創建。その礼拝堂を用いて、15世紀に聖母マリアに捧げる教会としてブラマンテが再建した。狭い敷地を生かすため、遠近法を用いた意匠が施され、とくに中央祭壇近くの漆喰装飾とアーチの連なりが見事だ。鐘楼は創建当時のもので、ロンバルディア・ロマネスク様式。

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ファサードは19世紀に修復されたもの

サンタ・マリア・プレッソ・サン・サーティロ教会

現地名:
Chiesa di Santa Maria Presso San Satiro
住所:
Via Speronari 3
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アクセス:
メトロ1・3号線 Duomo ドゥオモ駅から徒歩3分
TEL:
02-874683
営業時間:
9:30~17:30 日曜14:00~17:30
定休日:
無休 

中心街の喧騒から離れた静かな広場 メルカンティ広場 Piazza Mercanti

ドゥオモ広場とコルドゥシオ広場を結ぶ一角にあり、落ち着いた風情が漂う。広場を取り囲むのは、13世紀建造の旧裁判所、14世紀のオシイ家の回廊、17世紀の王立学校など。中央部には16世紀に造られたとされる井戸もある。

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ランチタイムにはミラネーゼの憩いの場に

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閑静なメルカンティ広場

メルカンティ広場

現地名:
Piazza Mercanti
住所:
P.za Mercanti
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アクセス:
メトロ1・3号線 Duomo ドゥオモ駅から徒歩3分

観光情報を観光地ごとに紹介する雑誌スタイルの旅行ガイドブック「まっぷるマガジン」。その取材スタッフや編集者が足で集めた「遊ぶ」「食べる」「買う」「見る」「泊る」のおすすめ情報をご紹介しています。

奥付:
この記事の出展元は「トラベルデイズ イタリア」です。掲載している情報は、2014年10月〜2015年1月の取材・調査によるものです。掲載している情報、商品、料理、宿泊料金などに関しては、取材および調査時のもので、実際に旅行される際には変更されている場合があります。最新の情報は、現地の観光案内所などでご確認ください。

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。